
この本では、白い仮説と黒い仮説という2つの視点から、身近な出来事から想像を超えるような出来事までが語られています。著者の定義する白い仮説とは、実験や証明によって検証された定説のこと。黒い仮説とは、検証されておらず限りなく嘘に近い説のことです。とはいえ白黒はっきりつけているのではなく、どれだけ白に近いか、どれだけ黒に近いかというグレー度という指標で、その信憑性を計っているところが面白かったです。
第1章と第2章では、比較的身近な話題が取り上げられています。マイナスイオンから始まり、ミネラルウォーター、酒豪と下戸、記憶とアロマ、血液型性格分類、カロリーゼロの食品、ギャンブルの成功率、視聴率、平均と中央値の違い、北極の不思議、GPS衛星の時計の誤差、原発の臨界についてです。
第3章と第4章では、SFのような話題が取り上げられています。脳をスキャンして考えを読み取る話、マンモス絶滅の原因、逆クレブス回路により無機物から有機物を作り出す話、地球の北と南が入れ替わるかもしれない話、宇宙が子供を産む話、ブラックホールの話、時間の話です。
前半では、視聴率の誤差の話が面白かったです。
テレビの視聴率は、関東では600世帯を対象に行われているそうです。その誤差をおおよそ知るには、調査数の平方根を求めればいいのだそうです。600の平方根は、およそ24。なので24世帯の差がついていれば、順位づけをしても構わないのだそうです。さらに、これをパーセントに直すと、24 ÷ 600 × 100なので、4%以上の差があればある番組が別の番組よりも視聴率がよいと言っていいのだそうです。
後半では、人間の時間と宇宙の時間の話が面白かったです。
その中でも、人間が感じられる最短の時間は、およそ 3/100秒。そして最大の時間は、およそ3秒という話が面白かったです。3秒はいくらなんでも短すぎるのではと思いましたが、およそ3秒で人間の意識はリフレッシュされているらしいです。その証拠として、ネッカーの立方体が紹介されていました。自分で試してみると、確かにある間隔で立方体の見え方が変化して驚きました。
そして最後のエピローグで語られていた、「〜といわれています」という表現には気をつけたいと思いました。
例えば、「身体によいといわれています」という言い回しです。これは、そう言われているだけであって、その結果について何ら保証しているわけではありません。こういう表現は、よく広告でも見られるので注意しようと思いました。
最終更新日 : 2022-10-30