
この作品は、困難な道のりを通って通学する4組の子供たちを描いたものです。
1組目は、ケニアに住むジャクソンと妹のサロメ。彼らは野生動物が住む平原を越えて、毎日学校まで通っています。しかも、片道15kmの道のりを2時間かけて小走りに駆けていきます。
2組目は、アルゼンチンの山脈で暮らすカルロスと妹のミカイラです。彼らは険しい山道を、馬に乗って学校を目指します。途中には滑りやすい岩場もあり、片道18kmの道のりは愛馬のキベリトの助けが必要です。
3組目は、モロッコに住むザヒラという女の子です。彼女の住む場所では、女の子には学問は必要ないと、それまで学校に行かせてもらえませんでした。しかし、ザヒラたちの世代になって、女の子も学ぶことを許されました。ザヒラは友人たちと一緒に平日は学校で寮生活をして、週末には自宅に帰ってきます。しかし、再び通学するには、険しい山道を22kmも歩かなければなりません。
4組目は、インドの漁村に暮らすサミュエル兄弟です。サミュエルは未熟児として生まれたために、手足が不自由で歩くことができません。そんなサミュエルを通学させるために、弟たちが手製のおんぼろ車いすを押して通学しています。
どの子供たちも、本当に困難な道のりを超えて学校に通っています。時には命の危険すらある道を越えて、彼らは学校を目指します。そんな彼らの、学びたい。そして夢をかなえたいという強い思いに心を打たれました。
自分自身のことを顧みた時、果たしてあそこまで切実に学びたいと願ったことがあったろうかと恥ずかしささえ感じました。
この作品を見て、世界中から彼らに支援が送られているかもしれません。それは必要なことだと思いますが、その一方でそれは違うという気もします。人生には大なり小なり、絶対に困難があります。そんな時、誰かが必ず手をさしのべてくれるとは限りません。そんな時に支えとなるのは、大きな困難を乗り越えた経験だと思うからです。大人としてすべきなのは、そんな彼らを厳しくもやさしく見守ることではないかと思いました。
最終更新日 : 2022-10-30