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2014-12-28 (Sun) 23:08

明日の子供たち/有川 浩

明日の子供たち有川浩さんの「明日の子供たち」を読み終えました。この作品では、児童養護施設が舞台となっています。

物語は、新米職員の三田村が出勤するところから始まります。施設に到着早々、散らかっている下駄箱を見つけた三田村は、それを整理し始めました。すると、そんな三田村を叱る女性が現れました。それが三田村の先輩である和泉でした。そして物語は和泉の先輩である猪俣。そして施設の子供である奏子と久志の視点から語られていきます。

物語などで読んだことはあっても、実際の児童養護施設など知らなかった私には、目から鱗な内容が多くて驚きでした。特に奏子が語った、「私たちはかわいそうじゃない」という言葉が衝撃的でした。奏子は児童養護施設に来たことで、学校にも通わせず家事を手伝わせたり叱ったりする母親から救われていたのです。

その後も、物語という形で児童養護施設が抱えるさまざまな問題が浮き彫りになります。その中でも最も重要なのは、施設を出た後の子供たちの面倒をみることは、もう施設にはできないということでした。限られた人員、限られた予算でやりくりしている施設には、そこまでの余裕がないのでした。

そんな中、施設の近くに「日だまり」という児童支援施設の存在が明らかになりました。その施設は、施設で暮らす子供たちが利用できるだけでなく、施設を卒業した後の子供の相談相手となることを期待して設立された施設でした。しかし、その施設はその必要性を行政にうまく説明できず、閉鎖の危機に陥っていました。

それを知った奏子たちは、施設の存続のために動きます。そして、その施設の必要性を公開の場で訴える機会を得たのでした。この第5章の奏子の演説が、とても説得力と迫真性にあふれていて心を打たれました。

正直、この章を読むまでは、面白い作品だけれど舞台を児童養護施設に変えただけで、登場人物はいつもの有川作品に登場する典型的なキャラばかりだと、ちょっとしらけた気分になっていました。それがこの章を読んだことで吹き飛びました。この章を読むためだけにも、この作品を読む価値があると思いました!

この本を読んでいる間、児童養護施設の現状が障害者と重なる部分があることに驚かされました。障害者福祉の世界でも、やはり少ない予算、限られた人材で関係者は苦労しています。そして、サービスを利用する当事者である障害者の声が、やはり行政に届きにくいのです。

この本の中では、障害者には選挙権があるからまだいいと読める箇所がありましたが、それは児童養護施設より幾分恵まれているだけで、厳しい現状は同じです。また就労という点では、障害者は健常者である施設の出身者よりも大きなハンディを負っています。

最終更新日 : 2015-04-26

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