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2014-11-12 (Wed) 15:47

星に降る雪/修道院 池澤 夏樹

星に降る雪/修道院池澤夏樹さんの「星に降る雪/修道院」を読み終えました。池澤さんの小説を読むのは、「スティル・ライフ」以来だったと思います。

この本には短編の「星に降る雪」と中編の「修道院」の2作が収録されています。
「星に降る雪」は、神岡でニートリノの観測施設で働く田村の元に、亡くなった友人・新庄の彼女だった亜矢子が訪ねてきます。田村たちは、一緒に登山する仲間でした。しかし、あるとき雪崩に巻き込まれて、田村と亜矢子は助かりましたが、新庄だけは命を落としてしまいました。

それ以来、2人はそれまでと同じように生きていくことができなくなってしまったのでした。とはいえ、悲劇的な救いのない物語なのではなく、肉体や時、空間を超えた魂の共感が感じられる、優しいお話でした。

「修道院」は、休暇を利用してクレタ島に出かけた"私"が、そこである修道院を見つける物語です。そして"私"は、宿の老婆から戦争で破壊された修道院がどうして再生されたのかという長い物語を聞くことになるのでした。
お話のメインは、修道院を再生したミノスという男の数奇な運命の物語です。どこからともなく村へとやって来たミノスは、新しい修道院の側にある、戦後修復もされずに放置されてあった修道院を直したいと言い出しました。それを許されたミノスは、私費と自らの労力を投じて、古い修道院の側にある礼拝堂を修復し始めるのでした。

物語の語り手である老婆は、その時点では村の宿屋の娘でした。弟と共にミノスの手伝いをすることもあった2人は、自分のことは何も語らない不思議なミノスに惹かれていくのでした。まもなく礼拝堂が完成するという頃、ミノスを探して1人の美女がやって来ました。それをきっかけに、ミノスの身の上と、その贖罪のための行動が明らかになっていきます。

2作とも面白かったですが、「修道院」の方は日本人の作家が書いたとは思えない、異国的な雰囲気を感じました。著者名を知らずにこの物語を読んでいたら、外国人が書いたお話だと思ったかもしれません。パリやギリシアなど、海外での生活も長い池澤さんだからこそ、こういった作品が書けるんだろうなあと感心しました。

最終更新日 : 2014-11-12

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