
ブコウスキーのことは全く知らなかったのですが、タイトルに惹かれて何となく読み始めました。最初は短編小説なのかと思ったら、日記だったので驚きました。この本が書かれた頃には、著名な作家として知られるようになっていたブコウスキーですが、若い頃は各地を放浪したりする、かなりの無頼漢だったようです。
しかし、彼にはたった1つ書く才能がありました。この本の中でもブコウスキー自身が書くことについて触れていますが、とにかく彼は書かずにはいらない人だったようです。お金のためでも、名声のためでもなく、ただ書くこと、それがブコウスキーにとっては必要だったのでした。
そんな彼の毎日は、基本的に昼間は競馬場へ行き、夜にはコンピュータの前に座り(Macを使っていたようです)夜中まで文章を書く。そんな毎日です。そして浴びるようにお酒を飲みます。この本の執筆時点ではそれほどでもないようですが、若い頃はそれなりに女性とも関係があったようです。
またブコウスキーは、基本的に人間嫌いだったようです。できる限り人と関わらないようにしているのに、有名になってしまった彼に人は何かと声をかけてきます。編集者を装ってファンがやって来たり、彼の半生をドラマにしたいとテレビ局の人間がやって来たりします。文章の端々からも、彼が人間にうんざりしていることがうかがわれるのですが、そこにどこかおかしさがあるのがブコウスキーの人間性なのかもしれません。
そして、この本にもそんなブコウスキーの人間性があふれています。かなり汚い言葉遣いもあって、何度も途中で読むのをやめようかと思ったのですが、結局最後まで読み通してしまいました。それは時折はっとするような人生の真実らしきものが語られていたり、全てのことが破天荒なブコウスキーが書くということに対しては誠実であったり、混沌の中にきらりと光るものが感じられたからかもしれません。
最終更新日 : 2022-10-30