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2014-08-17 (Sun) 19:26

光の帝国 常野物語/恩田 陸

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)恩田陸さんの「光の帝国 常野物語」を読み終えました。この作品は、特殊な能力を持った常野一族のことを語った連作短編集です。

古来から、常野の人々はその不思議な力を使って、世界がより正しい場所であるように働いてきたようです。しかし、そんな一族がいることは世間の人々は知りません。常野の人たちが使うのは超能力みたいな力です。でも、それをテレパシーや念力などと説明せず、遠くの物事を聞き取る力「遠耳」や遠くの物事を見る力「遠目」、膨大な量の知識を「しまう力」などと表現されているのがよかったです。

常には世間から目立たず、ひっそりと暮らしている常野一族ですが、世の中が軍国主義へと突入した時には、その力を戦争に利用されそうにもなりました。その時の戦いで、多くの仲間が犠牲になったりもしましたが、それでもまだ常野はどこかにいて、今日も人知れず私たちを守ってくれています。

連作短編なので、特定の主人公はいませんが、何度も作品の中に登場する人もいます。その中でも一番印象的なのは、いったい何歳なのかわからないくらい長く生きているツル先生です。どの時代でも見た目があまり変わらないということは、もしかしたらツル先生は人の歴史の最初からそれを見届けているのでしょうか。
こういう設定どこかであったな〜と思ったら、梶尾真治さんの「おもいでエマノン」でした。もっともこっちは、1人の人間じゃなくて母娘に累々とその記憶が受け継いでいかれるお話ですが。(^^;

夜のピクニック」を読んだ時からそう思っていましたが、やっぱり恩田陸さんの作品は凄いです!
今回は短編集でしたので、1つ1つの作品の出来にはばらつきがあります。しかし、どれも水準以上の作品で、それが1つにまとまった時により輝きを増して見えてきます。
この作品、これで終わりかと思ったら、続編も出ているようです。それもいずれ読んでみようと思います。

最終更新日 : 2022-10-30

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