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2014-06-15 (Sun) 22:25

黙祷の時間/ジークフリート・レンツ

黙祷の時間 (新潮クレスト・ブックス)ジークフリート・レンツの「黙祷の時間」を読み終えました。

とあるギムナジウムでは、しめやかに追悼式が行われていました。英語教師だったペーターゼン先生が亡くなったのです。その先生のことを、クリスティアンはシュテラと、心の中でファースト・ネームで呼びかけていました。教師と生徒という関係を超えて、シュテラとクリスティアンは愛し合っていたのでした。

物語は、クリスティアンの回想という形で進んでいきます。港町に住む18歳の学生・クリスティアンは、学校に通いつつ、実家の船仕事も手伝っています。そんな彼の憧れは、美しいシュテラでした。そしてある日、クリスティアンはシュテラと男女の関係になったのでした。

とはいえ、この描写は生々しいものではなく、美しい映画のワンシーンのように語られます。物語の他の部分でもそうですが、著者は情景描写がとても巧みだと思いました。そのあまりに美しい世界は、現実感は気迫ですが、夢の中の出来事のような不思議な雰囲気を作品に与えています。

クリスティアンの中で、シュテラへの気持ちは盛り上がります。しかし、シュテラはクリスティアンとの関係を深めることにためらいを見せます。そんな時、シュテラは友人に誘われてヨット旅行へと出かけてしまいます。シュテラがいない間、クリスティアンは悶々とした日々を過ごすことになります。

そして、ようやくシュテラが帰ってきました。しかし、クリスティアンの目の前でヨットが事故を起こし、シュテラは病院へと運び込まれるのでした。そして、そのままシュテラは帰らぬ人となってしまいました。こうして少年の淡い恋は、あっという間に消え失せてしまったのでした。

1冊の本になっていますが、長編というほどの長さはなく、中編くらいの物語です。なので、あっという間に読み終えてしまいました。しかし、読み終えた後には、クリスティアンの失われた恋の痛みと、美しい描写が心に残る作品でした。

驚いたのは、この作品を書いた時、著者のレンツは82歳だったそうです。しかし、作品には若々しさが満ちていて、ともて老人の書いた作品とは思えませんでした。以前読んだシュリンクもそうですが、現代のドイツ作家はいい作品を書く人が多くてうれしくなってしまいました。(^^)

最終更新日 : 2022-10-30

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