
ある海辺の館で老婦人が殺害される事件が起きます。しかし、物語のメインはこの殺人事件ではありません。事件が起きるずっと前から、全ては事件に向かって進んでいるのです。そのため、物語のスタートする時間も、事件発生のかなり前からになります。クリスティの巧みな語り口で、さまざまな登場人物の視点から物語が語られていきます。いっけん無関係かと思われるエピソードもあるのですが、それが最後の最後で見事に組み合わさるのが爽快でした!
このお話で探偵役を務めるのは、バトル警視です。バトルはかってはポワロと一緒に捜査を行ったこともあり、捜査の途中で彼がポワロのことを思い出すのが微笑ましかったです。(そして、その出来事もきちんと意味があります)
物語の結末となるロマンスは、ちょっと安っぽいような気もしましたが、それはこの作品の面白さを損なうほどではありません。クリスティの作品といえば、ポワロやマープルのものが有名ですが、それ以外にもこのような優れた作品を書いているとは本当に驚きです。
最終更新日 : 2022-10-30