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2014-03-07 (Fri) 22:16

光秀の定理/垣根 涼介

光秀の定理 (単行本)垣根涼介さんの「光秀の定理」を読み終えました。

著者の初めての時代小説ということで、期待半分、不安半分といった気持ちで読み始めました。そして、垣根涼介さんの作品は、やっぱり垣根涼介さんの作品だったと思い知りました。垣根流の物の見方を交えて語られる物語が、本当に面白かったです。

物語は京で3人の男が出会うところから始まります。1人は関東から流れてきた剣士・新九郞、1人は原始仏教の実践者である坊主・愚息。そして、もう1人が物語のタイトルにもなっている光秀こと十兵衛です。この時の光秀は、まだ織田家には仕えておらず、京で貧窮生活を送っていました。そんな光秀が、どうして織田に仕えるようになり、さらには重用されるようになったのか。

物語の前半では、光秀は陰に回った形で、新九郞と愚息が物語を引っ張ります。その中でも村人たちに剣の稽古をつける中、新九郞が剣の理を見出していくあたりが面白かったです。そして中盤からは、物語の視点が光秀に移ります。織田家に仕官した光秀は、その最初の戦いで山城を制圧するように命じられます。山城へと続く道は4本。そのうちの3つには伏兵がいるが、1つにはいない。しかし偵察でわかっているのは、そのうちの2つに伏兵がいることだけ。そんな中で光秀がどんな決断をするのかが中盤の見せ場です。

後半は、本能寺の変が終わった後のお話です。既に光秀はこの世になく、年を重ねた新九郞と愚息がなぜ光秀がそんな行動に出たかを語り合います。本当は何が真実だったのか、それは誰にもわかりません。しかし2人のたどり着いた答えは、納得のできるものでした。

ということで、物語の語り口は味があるし、登場人物も魅力的でとても楽しめました。新たな境地を開いた垣根さんが、この先どんな作品を発表されるのか楽しみです。

最終更新日 : 2022-10-30

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