
今回は、藤子不二雄さんがマンガ化された時、どこをどんな風に変えたのかに着目して読んでみました。
藤子版では、最初からベチンダとギグリオの物語になっていますが、原作ではベチンダとギグリオ以外にも、バロロソ王、アンジェリカ姫、ガミガミ伯爵夫人、バルボ王子など、さまざまなキャラクターが活躍する物語となっていました。そのせいか、物語の中心がどこにあるのかが今ひとつわかりにく構成のように感じました。

また藤子版ではちょい役でしかなかったガミガミ伯爵夫人ですが、原作では予想外に出番が多い上に、ギグリオと結婚を迫っているのには笑ってしまいました。それから藤子版は少女マンガという内容ですが、原作はかなりコミカルな語り口で書かれているのも印象的でした。
一番驚いたのは、藤子版ではクライマックスになっているギグリオがロサルバを助ける場面です。軍を率いてきたギグリオがロサルバと共に逃げ出したパデラを追い詰める展開が原作には全くなく、ロサルバは襲われかけていたライオンに助けられてあっさり逃げ出してきたのには拍子抜けしてしまいました。
もっとも藤子版の方では、タイトルになっているバラと指輪が、物語の中盤以降ではほとんど意味がなくなっているという問題があります。というわけで、コミカルな物語として楽しみたいなら原作を、古き良き少女マンガの展開を楽しみたいなら藤子版を、という感じで読み分けるのがいいかもしれません。
最終更新日 : 2022-10-30