
主人公の村上真介は、相変わらず企業のリストラを請け負う仕事をしています。8歳年上の恋人、陽子も相変わらず健在です。今回は4つの企業のリストラ話、そして1つの人材派遣が描かれました。
その中でも印象に残ったは、第2作の「女難の相」と第3作の「借金取りの王子」でした。
「女難の相」では、保険会社のリストラを真介たちが請け負います。その中で真介が担当することになった男は、自らの意志でエリートコースから脱落してしまった男でした。成績もよく優秀な社員だった彼が、どうしてあえて道を降りることになったのか。その原因を描きつつも、ラストには爽やかさが感じられたのがよかったです。
「借金取りの王子」では、消費者金融がリストラの対象となっています。そこで真介が担当した男性は、かって上司から「王子」と呼ばれていた男でした。ギリギリのところでがんばっている彼ですが、リストラ候補として危ないところまで追い詰められていました。そんな彼の事情がじょじょに明らかになってきます。彼にとって大切なのは、奥さんだったのです。この彼と奥さんの関係がなかなか泣かせるものでした。
第5作の「人にやさしく」では、真介の会社がリストラ請負だけでなく、人材派遣業にも手を伸ばします。その手始めとして、真介は陽子の職場の求人を担当することになるのでした。これは短いお話でしたが、真介と陽子の絶妙な掛け合いもあって、楽しい話になっていると思いました。
最終更新日 : 2022-10-30
著者:垣根涼介 借金取りの王子(2007/09)垣根 涼介商品詳細を見る リストラ請負会社に勤める村上真介。百貨店、保険会社、サラ金…今日も、別の企業へと向かい…。 『君たちに明日 …
2013/02/03 00:40 新・たこの感想文