眉村卓さんの「まぼろしのペンフレンド」を読み終えました。
この本には、表題作「まぼろしのペンフレンド」、「テスト」、「時間戦士」の3つの作品が収録されています。
どの作品も当時の小学生や中学生くらいの読者を対象に書かれたものですが、今読んでもけっこう面白いです。
「まぼろしのペンフレンド」は、主人公の渡辺明彦のところに不思議な手紙が届くところから始まります。本郷令子という名前の差出人は、一方的に明彦の周囲の状況を聞きまくる手紙を送ってきたのです。おまけに、その手紙には調査費として1万円札まで同封されていました。その手紙を気味悪く思ったものの、興味を持った明彦はその女の子と文通を始めました。
そんな時、明彦は同じクラスの伊原久美子も同じような手紙をもらっていることを知りました。久美子のところに送られてきた手紙にも、やはり1万円札と周囲の様子を教えて欲しいと書かれた手紙が入っていました。それを知った明彦は、これは何か大がかりな陰謀が背後で動いているのではないかと疑うのでした。
不思議な事件はさらに続きます。学校帰りの明彦は、突然校門前で同じような顔をした男たちに取り囲まれて、写真のようなものを撮られました。その男たちも、明彦には今回の事件と関係があるように思えてなりません。そんな時、本郷令子から手紙が来て、東京にやって来るから出迎えて欲しいと言ってきました。
一方的に要求ばかりして、失礼な相手だと思ったものの、明彦は令子の出迎えに駅に向かいました。そして、この時から明彦は思いがけぬ危機に直面することになりました。駅で明彦は誘拐されそうになったばかりか、家へ帰ると明彦そっくりの少年がそこにはいたのです。誰が何の目的で何を企んでいるのか。その謎が次第に明らかになっていきます。そして明彦は、事件の背後に別次元の無機生命が絡んでいることを知るのでした。
「テスト」は、文芸部の部長を務める村尾良作を主人公とした物語です。良作は、秀でた文芸の才能は持っているものの、その他では劣等感にさいなまされている少年です。そんな彼の元に、不思議な男が現れて、彼を別の世界へと連れて行くのでした。男は、良作の文芸の才能を見込んで、ある依頼をしてくるのですが・・・。
「時間戦士」は、人類がザグバンダと呼ばれる謎の存在に侵略されている時代の物語です。その時代、人類は大きなドーム都市の中で暮らしていました。都市は栄えましたが、その周囲は深い森として放置されていました。そんな時、突然ザグバンダが人類の都市を次々と襲い始めたのです。人類は必死で戦いますが、人類の武器はザグバンダには通じません。そこで人類は、最後の望みをかけて3千年先の未来へと時間移動して生き延びる道を選んだのでした。
そんな中、ザグバンダと戦う戦士たちが組織されました。それが時間戦士です。時間戦士は、一気に3千年先の未来へと飛ぶのではなく、100年ごとに時間旅行をしてザグバンダにゲリラ攻撃を仕掛けるのです。主人公のタキタも、そんな戦士の1人です。そして最初の時間跳躍をしたタキタたちは、その時代の偵察を始めました。ところが、タキタを偵察に送り出した母船は、どこかへ姿を消してしまいました。たった1人、100年後の未来に取り残されたタキタは、そこで驚くべき事実と遭遇するのでした。
どの作品も時代を感じさせますが、その中でも「まぼろしのペンフレンド」が一番現代との違いを感じさせられました。コンピュータ・ネットワークが発達した現代では廃れてしまいましたが、かっては雑誌の文通コーナーで見知らぬ人とやり取りをするのを楽しむ人たちが大勢いました。郵便でのやり取りですので、今のメールのようにすぐに返事が来たりしませんが、このくらいの時間の余裕があった方が人間らしい気がしました。
この本には、表題作「まぼろしのペンフレンド」、「テスト」、「時間戦士」の3つの作品が収録されています。
どの作品も当時の小学生や中学生くらいの読者を対象に書かれたものですが、今読んでもけっこう面白いです。
「まぼろしのペンフレンド」は、主人公の渡辺明彦のところに不思議な手紙が届くところから始まります。本郷令子という名前の差出人は、一方的に明彦の周囲の状況を聞きまくる手紙を送ってきたのです。おまけに、その手紙には調査費として1万円札まで同封されていました。その手紙を気味悪く思ったものの、興味を持った明彦はその女の子と文通を始めました。
そんな時、明彦は同じクラスの伊原久美子も同じような手紙をもらっていることを知りました。久美子のところに送られてきた手紙にも、やはり1万円札と周囲の様子を教えて欲しいと書かれた手紙が入っていました。それを知った明彦は、これは何か大がかりな陰謀が背後で動いているのではないかと疑うのでした。
不思議な事件はさらに続きます。学校帰りの明彦は、突然校門前で同じような顔をした男たちに取り囲まれて、写真のようなものを撮られました。その男たちも、明彦には今回の事件と関係があるように思えてなりません。そんな時、本郷令子から手紙が来て、東京にやって来るから出迎えて欲しいと言ってきました。
一方的に要求ばかりして、失礼な相手だと思ったものの、明彦は令子の出迎えに駅に向かいました。そして、この時から明彦は思いがけぬ危機に直面することになりました。駅で明彦は誘拐されそうになったばかりか、家へ帰ると明彦そっくりの少年がそこにはいたのです。誰が何の目的で何を企んでいるのか。その謎が次第に明らかになっていきます。そして明彦は、事件の背後に別次元の無機生命が絡んでいることを知るのでした。
「テスト」は、文芸部の部長を務める村尾良作を主人公とした物語です。良作は、秀でた文芸の才能は持っているものの、その他では劣等感にさいなまされている少年です。そんな彼の元に、不思議な男が現れて、彼を別の世界へと連れて行くのでした。男は、良作の文芸の才能を見込んで、ある依頼をしてくるのですが・・・。
「時間戦士」は、人類がザグバンダと呼ばれる謎の存在に侵略されている時代の物語です。その時代、人類は大きなドーム都市の中で暮らしていました。都市は栄えましたが、その周囲は深い森として放置されていました。そんな時、突然ザグバンダが人類の都市を次々と襲い始めたのです。人類は必死で戦いますが、人類の武器はザグバンダには通じません。そこで人類は、最後の望みをかけて3千年先の未来へと時間移動して生き延びる道を選んだのでした。
そんな中、ザグバンダと戦う戦士たちが組織されました。それが時間戦士です。時間戦士は、一気に3千年先の未来へと飛ぶのではなく、100年ごとに時間旅行をしてザグバンダにゲリラ攻撃を仕掛けるのです。主人公のタキタも、そんな戦士の1人です。そして最初の時間跳躍をしたタキタたちは、その時代の偵察を始めました。ところが、タキタを偵察に送り出した母船は、どこかへ姿を消してしまいました。たった1人、100年後の未来に取り残されたタキタは、そこで驚くべき事実と遭遇するのでした。
どの作品も時代を感じさせますが、その中でも「まぼろしのペンフレンド」が一番現代との違いを感じさせられました。コンピュータ・ネットワークが発達した現代では廃れてしまいましたが、かっては雑誌の文通コーナーで見知らぬ人とやり取りをするのを楽しむ人たちが大勢いました。郵便でのやり取りですので、今のメールのようにすぐに返事が来たりしませんが、このくらいの時間の余裕があった方が人間らしい気がしました。
最終更新日 : 2022-10-30
* by 横溝ルパン
こんばんは。いつもお世話になります。
そういえば、「まぼろしのペンフレンド」はドラマにもなっていたんですね。私は残念ながら、ドラマ版は見たことがないんです。でも、この作品などの眉村卓さんの子供向け作品で、SFってこんなに面白いんだということを教わりました。
今と昔では変わってしまったものも多いですね。文通もその1つではないかと思いますが、昔は雑誌などでもたいてい文通相手を募集するコーナーがありましたよね。この時代のことを考えると、今は便利でスピーディーになったけれど、何か大切なものをあの時代に忘れてきてしまったような気がしてなりません。
そういえば、「まぼろしのペンフレンド」はドラマにもなっていたんですね。私は残念ながら、ドラマ版は見たことがないんです。でも、この作品などの眉村卓さんの子供向け作品で、SFってこんなに面白いんだということを教わりました。
今と昔では変わってしまったものも多いですね。文通もその1つではないかと思いますが、昔は雑誌などでもたいてい文通相手を募集するコーナーがありましたよね。この時代のことを考えると、今は便利でスピーディーになったけれど、何か大切なものをあの時代に忘れてきてしまったような気がしてなりません。
「まぼろしのペンフレンド」は子供の頃にNHKのドラマで見ましたよ。懐かしいですね!この作品からSFの面白さを教えてもらいましたっけ。
今と昔では色々なシチュエーションの違いが出てきますよね。待ち合わせ場所の行き違いとかも、今の携帯全盛の時代では殆どないですものね。それにしても文通と言う言葉も懐かしいです。言葉自体にキュンときちゃいますね(笑)