
時はヴィクトリア朝時代。その世界の歴史は、私たちの知っている歴史とは違い、フランケンシュタイン博士の手によって、死者を蘇られる技術が日常的なものとして使われています。そんな世界を舞台に、主人公となったのはシャーロック・ホームズの語り手として有名なワトソン博士です。お話はまだワトソンがホームズと出会う前、医学生だった頃から始まります。
医学生であると共に、死者技術にも通じていたワトソンは、政府の特命を受けて仕事をすることになりました。その任務でアフガニスタンへと赴いたワトソンは、そこで思いがけない事件に巻き込まれていくことになるのでした。物語の舞台は、明治初期の日本、アメリカ、そして再びイギリスへと飛びながら、その合間に小説で知られた有名人や著名人が次々と登場します。
読み終えた感想としては、冒頭のプロローグの部分は伊藤計劃さんらしいものでしたが、第1部からはやはり円城塔さんの作品になっているような気がしました。円城塔さんの小説は、以前読もうとして挫折してしまったのですが、観念的というか抽象的というか、とにかく読みづらかった記憶があります。そのイメージ通り、この作品もかなり読みづらい作品だと思います。(^^;
ということで、死者を蘇らせる技術がある世界という設定は面白いのですが、物語としては今ひとつだったような気がします。
最終更新日 : 2022-10-30
著者:伊藤計劃、円城塔 屍者の帝国 (河出文庫)(2014/11/06)伊藤 計劃、円城 塔 他商品詳細を見る 死体を改造し、労働力とする「屍者」化の技術が全世界へと拡大した19世紀末。英国、ロンドン大学に通う学生ジョン・ワトソンは、諜報員としてアフガニスタンへと潜入する。そこで待ち受けていた「屍者の国」の王カラマーゾフから依頼を受け、「ヴィクターの手記」、最初の屍者ザ・ワンを追... …
2015/04/13 23:58 新・たこの感想文