
坂脇恭一はとある旅行代理店に勤めるサラリーマンです。そんな彼は、ふとした偶然から美人局をやっているチンピラとその女と知り合いました。そのチンピラに因縁をつけられて脅されている同僚から頼まれて、恭一はそのチンピラと話をつけることになりました。ところが、勢い余ってそのチンピラを殺してしまったのでした。
恭一の中には、もともと凶暴なものが潜んでいました。彼の車が置き引きにあった時、恭一はその犯人を見つけ出して、徹底的に相手を痛めつけたのでした。普段の恭一はそういった面を表に出しませんが、何かの拍子に恭一の凶暴性は表に現れるのでした。
そしてチンピラに薬漬けにされて利用されていた女・圭子。彼女は学もなく、最初に入った職場では男にいいように利用されました。仕事を辞めて別の生活を始めようとした圭子でしたが、売春をするうちにチンピラの市原という男に捕まって、美人局をさせられてきたのでした。
恭一と圭子、2人ともそれぞれに心に傷を負った過去を抱えています。そんな2人が生きてゆくには、心の箍を外してしまわなければならないような時もあります。こうして出会った2人は、いつしか一緒に生きるようになっていたのでした。
これまでに読んだ垣根さんの他の作品と比べると、この作品ではやけにセックス描写が濃厚で読んでいてげんなりしてしまうところがありましたが、やられた相手にはやりかえすという恭一の生き方には垣根作品に登場する他の主人公と同じような匂いを感じました。
最終更新日 : 2022-10-30