
今回は、鈴宮深樹ことぐー子が、上司の鏡の故郷である栃木県で活躍する様子が描かれました。前巻までは、あまりのへたれぶりが心配だったぐー子ですが、第3巻になってようやく少し仕事ができるようになってきました。とはいえ、やはり肝心なところでは鏡の助けが必要になるのですが・・・。
今回のメインとなる物語では、ぐー子はとある霊感商法の脱税と戦うことになりました。途中までは税務的なお話でしたが、お話が進むに従って火曜サスペンス劇場的な展開になったのは驚きました。今回気になったのは、公務員の守秘義務です。仕事上で知り得た秘密は、たとえそれが犯罪であっても警察に通報したりできない。もし通報すれば、守秘義務違反として裁かれる。これはちょっと納得できない規則だと思いました。こういう規則が定められているのには、きっと深い事情があるのでしょうが、犯罪すら見逃さなければならないのは人道的にどうかと思いました。
それから、税務署も人の集まりであるからには、やはり人間関係の問題が存在します。今回から登場の新キャラ、ヨナさんにまつわるエピソードでは、仕事上の人間関係の難しさと深さを感じました。
お金にまつわるお話なので、重たい部分もありますが、軽い文体で語られているのが救いですね。ただ、作品の構成には若干問題があるような気がします。冒頭で語られた大見謝家の物語、物語の前半、後半に分割されている必然性を感じませんでした。冒頭の物語として解決編まで描いて、その上で物語り本編を進めた方がよかったのではないかと思いました。
一生懸命働いている人間がお金に苦労して、働かずに人に迷惑ばかりかけている人間が生活保護を受けてのうのうと生きている。こういう現状は、なんとか改善して欲しいものですね。
最終更新日 : 2022-10-30