
自転車のロードレースの世界を舞台にした小説があると、この本のことは以前から気になっていました。曽田正人さんのマンガ「シャカリキ! 」も好きでしたし、時折テレビで放映されるツール・ド・フランスを見るのも好きでした。
運動神経が悪くて、乗りこなすところまでいきませんでしたが、ロードバイクへの憧れがつのって、とうとう購入してしまったのも今ではいい思い出です。そんな私にとって、この小説はとても楽しめるものでした。
主人公の白石誓は、陸上競技で好成績を出していたにも関わらず、ある日偶然に見たツール・ド・フランスの映像に影響されて、陸上を捨てて自転車競技に挑むようになりました。社会人となった今では、その時の実績を買われて今ではチーム・オッジという自転車メーカーが出資しているチームで走っています。
学生時代の陸上では、とにかく勝利することを求められましたが、自転車競技ではチームのエースを助けるアシストも重要な役割です。誓は性格的に、自分が勝利するよりも、自分が力を尽くすことで誰かを勝利させる方が性に合っているようです。
そんなチーム・オッジの現在のエースは石尾です。ところが誓は、ある日同じチームで石尾とエースの座を張り合っていた袴田という選手が事故で下半身が動かなくなったことを知りました。そして、それを石尾はわざとやったのではないかと疑われていたのでした。
物語は日本国内でのレースから、海外遠征を行いベルギーのレースへと飛びます。そこで思わぬ事故が起きることになるのでした。物語の冒頭から、それは予告されていたのですが、実際にその場面を読んだ時は衝撃を受けました。そして、なぜその事故が起きたか。それが明かされていきますが、その答えが二転三転するのも面白かったです。
この本には続編もあるらしいので、それも読んでみたいですね。
最終更新日 : 2022-10-30