
先に読み終えた同じ著者の「ミラノ 霧の風景」にも登場するコルシア・デイ・セルヴィ書店。この本では、その書店に集まってきたさまざまな人々が描写されていました。「ミラノ 霧の風景」では、ミラノという土地がタイトルになっていたせいか、話題があれこれと移り変わりましたが、この作品では書店に関わった人々という視点で話題が固定しているのが、まとまりを感じさせてよかったです。
書店に集まる人々は、さまざまな人種、性別、年齢の人たちなのに、みんなどこか個性的で魅力的な人たちでした。みんなさまざまな事情で書店と関わるようになったのですが、そんな彼らに1つ共通して感じたのは、どこか哀しさを抱えているように思えたことです。それはもしかして、書店に集まった人たちだけが抱えているものではなく、人間みんなが抱えている哀しみなのかもしれませんが・・・。
そして、もう1つこの作品を読んで感じたのは青春でした。書店は著者にとってだけでなく、書店に関わる多くの人々にとって青春だと感じました。若さ故の傲慢さや浅はかさもあり、年を取った時にふと若き日の懐かしい思い出として思い返さずにはいられない場所。それが著者たちにとっての書店だったように思えました。
最終更新日 : 2022-10-30
須賀敦子さんの「コルシア書店の仲間たち」を読み終えました。先に読み終えた同じ著者の「ミラノ 霧の風景」にも登場するコルシア・デイ・セルヴィ書店。この本では、その …
2012/06/13 00:09 まとめwoネタ速neo