
出版社で編集者をしている真也には、品物や場所に残された人間の記憶を見ることができる力がありました。
ある日、真也は同僚のカオルと一緒にアメリカにいたカオルの父親を迎えに行くことになります。その父親は、ハリウッドで映画の仕事をしていたらしいのですが、真也は力のせいでそれとは異なる記憶を見てしまいます。
この本は、そんなあらすじから有川浩が新しい物語を作り出すことに挑戦したものです。結果的に、2つの作品が本書には収録されることになりました。1つ目のお話では、カオルは父親から捨てられたと思い込んでいます。しかし、読み進んでいくうちに、意外な真相が明らかになるのでした。どこか推理小説っぽい内容でしたが、こういう形式の物語は有川さんはあまり得意ではないのでしょうか!? 謎が唐突でちょっとわかりにくかったです。
2つ目は、真也とカオルは結婚間近の恋人という設定になっています。同じように、ある日父親が帰ってくることになりましたが、カオルは気が重そうです。この父親、自意識ばかり過剰で、実力が伴わないというかなり痛い人でした。そんな父親とカオルの間を取り持つために、真也は苦労することになるのでした。
有川さん得意の恋愛要素もありましたし、カオルや父親の複雑な感情がうまく描かれていて、こちらの方が作品の出来は上だと思いました。
この本には、なぜかいつも有川さんの本の巻末にあるあとがきがありませんでした。どうして、こういう企画の本に参加することになったのか、そのあたりの裏事情とか語ってくれると楽しかったのになあ。
最終更新日 : -0001-11-30
著者:有川浩 ヒア・カムズ・ザ・サン(2011/11)有川 浩商品詳細を見る 出版社で編集の仕事をする真也。彼には、幼い頃から、物や手紙に残された記憶を感じることが出来た。そんな彼... …
2012/07/03 22:04 新・たこの感想文