
今回は珍しく、莉子がまだ万能鑑定士Qを開店したばかりの頃まで時間をさかのぼった物語でした。
リサイクルショップの瀬戸内陸の助けを得て、莉子はとうとう自分のお店を持つことができました。しかし、開店当初は苦難の連続だったのでした。鑑定家としての知識はあっても、その時の莉子には経営者としての知識と経験が不足していたのです。
それを補うために、莉子は瀬戸内から論理的な思考法など、今までに教わらなかったさまざまな知恵を教わるのでした。そんな時、莉子のお店に美容院の経営者が訪れました。彼女のお店は、押した覚えのない社印を押した書類を元に、お店の全経営権を奪われようとしていたのでした。彼女は社印が偽造されたものであると主張しました。しかし、何度鑑定を行っても社印は本物と変わらないと判定されてしまうのです。
その女性に同情した莉子は、真実を突き止めるために瀬戸内から教えられた知恵を総動員して謎に挑みます。
このところかなりしっかりしてきた莉子と違って、まだ弱々しく未熟な莉子の姿が新鮮でした。どんなに凄い人でも最初から凄かったわけではなく、そこに至るまでの過程があったんだなあと感心させられました。
そんな莉子の姿を見ていたら、私ももっとしっかり勉強しなければと気合いが入りました。
そうそう。今回は過去話だったこともあって、これまでのシリーズで登場した人物があちこちで顔を見せてくれて楽しかったです。
最終更新日 : 2022-10-30
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2013/05/25 01:21 本の宇宙(そら) [風と雲の郷 貴賓館]