
今回の本でターゲットになったのは、高知県に実在する県庁の組織、おもてなし課でした。観光事業推進のため、何か独創的なことをしようという名目で作られた部署なのですが、悲しいくらいお役所体質から抜け出せません。手始めにと、他の県でもやっているように観光特使を作ってはみたものの、名刺を配っていただくということが決まっただけで、何も具体的に着手できません。
そんな時、おもてなし課の職員・掛水のところに、特使の1人である作家・吉門から連絡が入りました。そこで吉門から手厳しい指摘を受けたことをきっかけに、おもてなし課は少しずつ変わろうとし始めます。その手始めとして手をつけたのが、かって県庁に在職して高知県の動物園にパンダを誘致しようという提案をぶち上げた清遠を味方に引き込むことでした。
清遠本人は、それが原因で県庁を退職することになったことを根に持っていませんでしたが、その娘が障害となってなかなか清遠とコンタクトを取ることができません。それでも、ようやく清遠をアドバイザーとして力を貸してもらうことになりました。ここから、掛水たちの部署は一気に忙しくなりました。
これまで、何かをやろうにもお金がないとマイナス面ばかり見ていた掛水でしたが、清遠はそんなおもてなし課の面々に全く違った視点をみせました。掛水たちの予想を超えて、各所を探せば高知は意外とアウトドアスポーツなどを楽しんだり、ふんだんに残っている自然を満喫できる場所だったのでした。
そして清遠に加えて、作家の吉門もアドバイス役に加わり、徐々におもてなし課は民間の視点を取り入れた部署へと進化していきます。ところが・・・というのが後半のストーリーです。
この本を読んでいて気になったのは、地域色を出すために登場人物の会話やモノローグに土佐弁が使われていることです。テレビの番組などで方言を聞かされるのはそれほど苦になりませんが、文章として土佐弁が使われるととても読みにくかったです。なので途中からは、文章を全部読むのではなく、何を言おうとしているか理解できればOKと気持ちを切り替えました。
そして、お堅い役所がメインのお話ではありますが、有川さんの物語の特色である恋バナは健在です。(^^;
主人公の掛水とアルバイトの多紀、作家の吉門と清遠の娘と2つの恋愛模様を楽しむことができます。にやにやシーンもそれなりあって楽しめましたが、物語のメインは観光推進なので、ベタベタな恋バナとまではいきませんが・・・。
でも恋人としては、掛水×吉門の組み合わせが実は最強かもしれません。(笑)
最終更新日 : 2022-10-30
小説「県庁おもてなし課」を読みました。 著者は 有川 浩 県庁、公務員たちを主人公に いわいる観光課たちの奮闘劇 まず 題材が面白く 観光を盛り上げるには? というね けっこう実話もあるらしくて・・・ いい意味でクセがなく 読みやすいですね 最初はダメタメから... …
2012/02/02 17:57 笑う学生の生活