
とある雨の日、守屋路行と太刀洗万智は学校帰りに雨宿りしている外国人の少女をみかけます。彼女に話しかけた2人は、彼女がユーゴスラヴィアからやって来たことを知るのでした。そして2ヶ月の滞在の後、その少女マーヤは自分の国へと帰ってきました。
物語はマーヤの帰国後、守屋と白河がマーヤが今どこにいるかを知ろうとするところから始まります。物語の舞台となっている1990年代、ユーゴスラヴィアは1つの国から分裂して複数の国へと変わってゆく過渡期だったのです。その分裂した国のどこにマーヤがいるのか、それを知るために守屋と白河は過去の記録をもう一度調べ直すのでした。
お話のメインは、そんな守屋たちがマーヤと過ごした2ヶ月間の様子です。米澤穂信さんの作品らしく、日常の中にちょっとした謎も仕込まれていました。そしてマーヤの言動は、普段当たり前のように思っている自分の生活も、海外からやって来た人たちには驚かれることもあるのだと、ありふれた日常も見方を変えれば驚きに満ちたものなのだと思いました。

この作品で登場したユーゴスラヴィアで思い出すのは、坂口尚さんの傑作マンガ「石の花」です。このマンガを読んでいたおかげで、ユーゴスラヴィアという国に親しみを持つことができました。
最終更新日 : 2022-10-30
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2011/01/02 15:05 ワタクシノウラガワR