
この本では、iPadなどが出版業界に与えた影響から始まって、紙の書籍の販売システム、編集者の存在の大きさ、本を販売するというビジネスを、従来の紙の場合と電子書籍になった場合との比較、など1つ1つ内容をきちんと積み上げてゆく書き方で、内容的にとても理解しやすかったです。
一部には電子書籍が発売されるようになれば、出版社は不要になるという過激な意見もあるようですが、簡単にはそうならないことをていねいに説明してあって好感が持てました。
今回この本を読んで特に有意義だったのは、編集者の存在の大きさを知ることができたことです。著者さえいれば、本は発行できるような気がしていたのですが、一流の編集者の校正・校閲というフィルターを通しているからこそ、現在出版されている書籍の品質が一定以上に保たれているという指摘には、とても納得させられました。
また、本を購入する消費者の立場からみると、印刷・製本が不要になること、取次店や書店を経由しなくなることで、電子書籍は従来の本より安くなるのではないかという期待がありましたが、著者の経験に基づいた試算によれば、電子化されたからといってコストは思った以上に削れないものなんだなあと思いました。
私もiPadで数冊電子書籍を購入しましたが、紙の書籍にはないメリットを感じる反面、デメリットを感じることもありました。なにはともあれ、電子書籍の時代はまだ始まったばかりです。この先、電子書籍がどうなっていくのか、これからが楽しみでもありますね。
最終更新日 : 2022-10-30