
この本では、まず最初に道徳というもののいかがわしさについて説明されました。そして、道徳とは自分が何かするのではなく、相手が自分に都合よく変わってくれることを期待するものだとバッサリ切ります。その上で、それなら悪ぶるのがいいのかと問いかけますが、それも益ないことだと説明します。
そこで登場してくるのが、"偽善"です。偽善という言葉には、何かいかがわしいものを感じてしまいますが、著者は偽善の"偽"の部分に着目するのではなく、"善"の部分に注目します。そして、この世に完全な善人などいないのだから、たとえ偽善であっても、その行為の"善"の部分にこそ価値があると説きます。
そして、欲望・怒り・迷いに支配されず、それらを上手くコントロールしてゆくことが大切だと結論づけます。それを上手くコントロールする方法については、別の機会にとなっていたのが残念でしたが、様々なシチュエーションでの心の動きを冷静にわかりやすく分析して解説されていたのでわかりやすかったです。
最終更新日 : 2022-10-30