
この作品の主人公セシルは、母を亡くして今は父親とその愛人と一緒に別荘にやって来ています。このちょっと特殊な家庭環境の中、セシルは海辺で知り合ったシリルという男の子に惹かれたりしながら、自由奔放に暮らしていました。
そこへ現れたのは、母親の友人であったアンヌです。アンヌとの再会を喜ぶセシルでしたが、アンヌが父親と結婚するという話を聞いて、その心が揺れ始めるのでした。
アンヌは、自由気ままなセシルやその父親とは違ったタイプの人間でした。理性的で常識的、そして知的なアンヌはセシルたちの生活を変えてゆこうとします。しかし、セシルはそれを恐れて、なんと父親とその愛人のよりを戻そうと画策するのでした。
この作品では、セシルのアンヌに対する感情が魅力的でした。アンヌはセシルにとって、憧れであると同時に窮屈な存在です。セシルの理性は、アンヌの正しさを理解しているのに、感情はアンヌを拒否します。そしてセシルは、アンヌを愛するのと同時に憎むようにもなるのでした。
驚きなのは、この主人公の複雑な感情を描いた時、作者のサガンはまだ18歳だったことです。自分自身のその年齢の頃を思い起こしてみると、サガンはなんと早熟な少女なんだろうと思いました。
最終更新日 : 2022-10-30