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2009-07-08 (Wed) 21:31

風のゆくえ/栗本 薫

風のゆくえ―グイン・サーガ(23) (ハヤカワ文庫JA)グイン・サーガ第23巻、「風のゆくえ」を読み終えました。17巻の放浪篇から始まったケイロニアを舞台にしたお話も、ついに完結です。

イリスの前で、ついに自分の本当の身分を話したマリウス。マリウスが、パロの摂政アルド・ナリスの弟だと知って、イリスはなぜ自分がマリウスに強く惹かれたのか、その理由を悟ったのでした。彼らは2人とも、光の中を歩むことができず、影の人生を強いられた存在だったのです。
しかし、マリウスの告白を聞いても、イリスの決意は変わりませんでした。あくまで男として、皇太子としてケイロニアの後継者となる策略を実行すべく、マリウスを気絶させてダリウスの元へと赴いたのでした。

そんな中、密かに今回の陰謀に関わったマライア皇后たちの裁判が開始されました。数々の証拠があるにも関わらず、マライア皇后はあくまで自分は首謀者ではなく、首謀者に仕立て上げられたのだと主張します。
しかし、それもダリウス大公が、イリスとその母ユリア・ユーフェミアが辿った数奇な運命を物語ったことで、マライア皇后に大きな動揺を与えました。

そして、ついにイリスは父であるアキレウス皇帝の前へと出る機会を得ました。しかし、その時控え室にはイリスの姿が見あたりませんでした。なんとイリス=オクタヴィアは、最後の最後の瞬間になってケイロニアの玉座ではなく、吟遊詩人マリウスの妻となることを望んだのでした。

2人はサイロンから抜け出して、トーラスへと向かおうとします。しかし、そんな彼らを追ってきたのは、あくまでイリスの自分の手駒として利用しようとするダリウス大公だったのでした。そして、驚くべき事実が明らかになりました。刺客の手によって、オクタヴィアの母の命を奪ったのは、マライア皇后ではなく、ダリウス大公だったのです。ダリウス大公は、ユリアを恋い慕っていたのに相手にされず、ついにユリアの命を奪うことになったのでした。

大公の傭兵たちに取り囲まれたマリウスたちを救ったのはグインでした。そして、グインは旅立つ2人に粋なプレゼントを用意していました。なんとオクタヴィアに父であるアキレウス皇帝に、親子の出会いを果たさせたのです。
グインの心遣いを受けたオクタヴィアとマリウスは、彼らに見送られてケイロニアから去っていったのでした。意外と不幸な展開が多いこの物語で、マリウスとオクタヴィアが結ばれたのにはほっとさせられました。(^^)

お話の後半では、このところ登場していなかった登場人物たちの様子も描かれました。
そして、グインは千竜長として兵士たちを率いて、ユラニアとの戦いに向かうことになりました。
そんなグインの動向を知ったという形で、久しぶりにリンダやレムス、ナリスたちが登場しました。レムスは王様になって以来、黒化まっしぐらな感じですね。そんなレムスを、リンダはただ見守ることしかできません。レムスは何かにつけて、ナリスに対抗意識を持っているようですし、今後のパロの動向に不安が残ります。

その頃、クムの人質となっていたアムネリスは、クムの大公タリオと男女の関係を持つようになっていました。しかし、体は許してもアムネリスは心まで許したわけではありません。密かに機会を窺い、モンゴール復活とナリスへの復讐を誓っていたのでした。

ノスフェラスへ赴いていた黒太子スカールたちですが、ようやくスタフォロス砦のあったところまで帰ってきました。しかし、グル=ヌーへと赴いた代償は大きく、多くの部下たちを失い、スカール自身もグル=ヌーの影響かと思われる病に冒されていたのでした。

ケイロニアとユラニアの間には戦いが始まり、クムとユラニアの関係も悪化しています。こんな状況の中で、この世界はどこへ向かっているのでしょうか。

最終更新日 : 2022-10-30

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