
久しぶりに読み返した「十角館の殺人」が面白かったので、その勢いで館シリーズの続編にも手を出してしまいました。十角館と比べると、この水車館はトリックは弱いですが、ゴシックな雰囲気、過去と現在が交錯する構成は面白いと思います。
作品の舞台となるのは、十角館と同じく中村青司の設計した水車館です。その館で1年前に、不思議な怪事件が起きました。住み込みの家政婦が転落死し、屋敷を訪れた客の1人が失踪して、さらに屋敷に滞在していた男が焼却炉からバラバラにされた焼死体として発見されたのです。
それから1年、その時とほぼ同じような人物。同じような嵐の夜に、再び事件の関係者と探偵役である島田潔が館を訪れました。現在のやり取りが進行しつつ、その合間に過去の出来事が語られるという構成で、過去の事件の真相、そして新たな事件が解決されることになるのでした。
この作品の魅力はいろいろあると思いますが、私はその雰囲気がとても気に入りました。人里離れた山奥の館に、仮面をつけて人目を避けるように生きている主人。そして、屋敷に幽閉されるように塔で暮らしている美女。屋敷の城のような外観と、その外側で回り続ける巨大水車。
作品を読んでいる途中で、何度も水車が重い音を立ててゴトゴトと回り続ける音が聞こえてくるような気分を味わいました。
最終更新日 : 2022-10-30
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2020/07/18 10:47 じゅうのblog