
この巻では、沖縄に渡った武田惣角の過去からお話が始まりました。金城朝典と出会って、"手"を知った惣角は、その奥義を求めて沖縄へと渡りました。そこで新垣世璋から那覇手を学んでいた惣角は、手の達人、松村宗棍と出会いました。そこで宗棍に負けたと知った惣角は、それをきっかけにこれまで以上の武術の境地に到達したのでした。
しかし、沖縄を出る前に松村宗棍に御式内を見せたことがきっかけで、島袋安徳の恨みを買ってしまいました。先日の警視庁武術試合で、保科四郎が御式内を使ったことから、安徳は梟となって講道館の門弟を襲っていたのでした。
そして、惣角を追ってやって来た安徳と四郎が対決することになりました。四郎はその戦いに勝利するものの、それはさらに新たな挑戦者を呼び寄せることになりました。警視庁武術試合に、東恩納寛量が出場することになったのです。そして四郎は、武術試合において寛量と激闘を演じることになるのでした。
四郎以外では、良移心頭流の中村半助と竹内三統流の佐村正明の戦いにも、ついに決着がつきました。以前の戦いでは、半助が佐村に諭されてギブアップして戦いを収めましたが、本当の決着はまだついていません。そんな2人が、ついに本気で激突する時がやって来たのです。
その描写は、なんだか柔道の試合というよりは、プロレスの試合のようでもありましたが、その戦いでようやく半助は長年の思いを遂げて、ついに佐村に勝利したのでした。
惣角と会った後、四郎はなぜ戦うのかについに思い悩むようになりました。それがやがては、四郎を講道館からの出奔という行動へと駆り立てるのでした。
そして講道館から始まった物語は、後に現れる前田光世へと引き継がれてゆきます。その物語は、地の巻として発表されることになりそうですが、いつそれを読むことができるのか楽しみです。
最終更新日 : 2022-10-30
中学から高校時代、私は柔道着を持っていた。体育の授業に柔道があったから。 強くはなかった。むしろ弱い方で、畳に転がされてばかり。しっかりと踏ん張っているのに、どうしてオレは投げられてしまうのか…さっぱり分からなかった。 夢枕獏による、壮大な格闘... …
2009/03/04 18:05 天竺堂通信