
大藪春彦さんの小説を思わせる、銃の調達や車のチューンナップの描写もあって、一気に読み切らせる面白さがある作品でした。
メインとなる視点は、日系ブラジル人であることにコンプレックスを持ち、それを隠して生きている耕一と、渋谷のストリートギャングのリーダーだったけれど、今では裏金専門に狙う強盗の仲間として教育を受けているアキ、の2つの視点から物語が描かれます。
最初は耕一とアキがどういう繋がりを持ってくるのか読めませんでしたが、耕一も以前は裏金専門の強盗に誘われて教育を受けたことがあったことから、2つが繋がりました。今では仲間から追われた耕一ですが、今の南米人の彼女・DDが巻き込まれた事件をきっかけに、コカインの密輸取引がヤクザと行われることを知りました。
自分1人では、その取引に割り込んで現金とコカインを手に入れることは無理だと知った耕一は、昔の仲間に声をかけて、一緒に密輸の現場を襲撃しないかと誘うのでした。
その襲撃がお話のメインではありますが、そこに至るまでの耕一とアキ、それぞれの恋人事情が事細かに描かれていきます。正直言って、耕一が付き合っているDDはうざいというかあまりにもアホすぎて好きになれませんでしたが^^;、そんなDDに尽くしてしまう耕一を見ていると、泥沼にはまった恋はこういうものかもしれないと妙に納得してしまいました。
物語は第1章、第2章、第3章の順にページ数が少なくなるのですが、それに合わせて物語が疾走してゆくのが気持ちよかったです。中盤はけっこうドロドロしたお話でしたが、ラストが予想外に爽やかだったので読後感もよかったです。(^^)
最終更新日 : 2022-10-30
故郷を捨て、過去を消し、ひたすら悪事を働いてきた日系ブラジル人の高木耕一は、コロンビア人の出稼ぎ売春婦DDと出逢う。気分屋でアタマ... …
2010/10/21 02:10 粋な提案