
高度2万メートルで起こった2度の飛行機事故。その原因はなんと、2万メートルの上空を住み家にしていた人類にとって未知の生物が原因だったのでした。物語は、その事故の原因を調査しようとする大人側の視点と、偶然未知の生物の片割れを拾った中学生の男の子の視点から描かれます。
あとがきで作者も書いていましたが、これは本当に怪獣小説ですねえ。クラゲのように空中を浮遊する"白鯨"と呼ばれる生物に、思考能力があって人間とコミュニケーションを取れるという設定が面白かったです。
そして第1作の「塩の街」では陸上自衛隊がメインでしたが、今回は空が舞台ということで航空自衛隊が絡むお話になっていました。
最初に戸惑ったのは、その文体でした。中学生の少年が高知に暮らしているということで、土佐弁が頻繁に出てくるのです、どういうイントネーションや言い回しでしゃべられるのか想像がつかない台詞もあって、慣れるまでかなり読みづらかったです。・・・慣れてからは、その方言が逆に暖かみがあっていいなあと思えましたが。
おおむね楽しんで読むことができましたが、1つだけ気になったのは"白鯨"を撲滅しようとする団体のリーダーで高校生の真帆のキャラ設定だけは違和感がありました。頭が切れるのはいいとして、大人を相手にあまりにもしたたかに振る舞いすぎているような気がしました。もちろん、そうなるだけの事情があるのですが、それを理解した上でもあまりに大人びすぎている気がしました。
ということで、作者のデビューから2作目ということで拙さも見られますが、その部分にちょっと目をつむれば、かなりSFしていて楽しめる作品だと思います。

(2008/12/25追記)
文庫に収録されている短編「仁淀の神様」を立ち読みしてきました。(^^;
「クジラの彼」にはなかった瞬と佳江のその後を描いたお話でした。お話のメインは、宮じいでした。こちらもなかなか泣けるいいお話ですので、本編を読まれた方には一読をお勧めします。
文庫に収録されている短編「仁淀の神様」を立ち読みしてきました。(^^;
「クジラの彼」にはなかった瞬と佳江のその後を描いたお話でした。お話のメインは、宮じいでした。こちらもなかなか泣けるいいお話ですので、本編を読まれた方には一読をお勧めします。
最終更新日 : -0001-11-30