
著者はパリの狭い路地にあるピアノの修理工房を知って、そこで中古のピアノを買おうと思い立ちます。しかしそのお店では、お店のお客からの紹介がなければピアノを売ってもらうことさえできないのでした。
何とか知り合いからお店を紹介してもらった著者は、ようやく自分にあったピアノ探しを始めることができるようになりました。
何度か工房に足を運ぶうちに、ようやく著者は自分の探し求めているピアノと出会うことができました。そのピアノを弾くようになってからも、著者は頻繁に工房を訪れて、さまざまな個性的な人々と知り合うのでした。
職人気質でどこか謎めいたところのあるお店の主人、アルコール中毒で午後からはワインを飲んでしまって仕事ができなくなってしまう調律師、昼間は修理工でピアノとは縁のなさそうな男、そのような様々な人々がここには集まってきます。
そこでピアノに魅せられた著者は、自分の演奏技術を向上させるために、先生についてピアノを習い始めるようになりました。そして、ますますピアノという楽器の奥深さにのめり込んでゆくことになるのでした。
私自身、かって我流でピアノの練習をしていたことがありますが、この作品を読んでもう一度ピアノを弾いてみたいと思い始めました。発表会で聞かせるためでもなく、ピアニストになるためでもなく、ただ自分の楽しみのためだけにピアノを弾く。それはとても素敵なことだと思えました。
最終更新日 : 2022-10-30