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2007-08-16 (Thu) 23:14

白夜行/東野圭吾

白夜行 (集英社文庫)ドラマ化されたりもしているらしい、東野圭吾さんの「白夜行」を読み終えました。

面白いという評判は聞いていたのですが、本当に噂通り面白い本でした。面白くて一気に読み終えるところを通り越して、もったいなくてじっくり読みたいと思わせてくれた1冊でした。(^^)

物語は1973年の大阪から始まります。廃墟となったビルで1人の質屋の経営者が殺されました。最初はその犯人を捜す刑事を中心に物語が進むのですが、途中で被害者の息子・桐原亮司と、容疑者の娘・西本雪穂がお話の真の主人公であることが明らかになってゆきます。
そして、何の関連もなさそうな2人が、それぞれの人生を送ってゆきながらも、どこかで繋がっていることが読者にわかってきます。
お話の前半は、学生だった2人が社会へと出て行くまで。後半は、2人に不審を持った人物たちが彼らの真実に迫ろうとします。

お話は暗くて重いのですが、主人公たちの身の回りで起こった事件に2人が複雑に関わっていることが、読み進むに従って欠けていたパズルのピースが埋まるように形が見えてきます。その読者への気づかせ方が絶妙で、あっという間に物語の虜になってしまいました。

さらに凄いのは、2人の主人公の緻密な繋がりに加え、その時代ごとの出来事もうまく物語の中に組み込まれていることです。個人的にツボだったのは、黎明期には子供のオモチャくらいに思われていたパソコンが、徐々に社会生活に欠かせないものになってゆく歴史を振り返ることができたことでした。

そして、2人の関係を調べてゆく中で、どうして2人がそのように暗い生き方をするようになったのかが明かされます。2人の心情を描いた描写はないのに、彼らが生きてきた悲しい人生が浮かび上がってきます。
物語のラストの余韻も素晴らしかったですし、読後に傑作を読み終えたという満足感を味わうことができました。少し重い作品ではありますが、未読の方にはぜひお薦めしたい1冊です。

最終更新日 : 2022-10-30

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