
水の精霊の守り人となってしまったチャグム。どうして自分が守り人に選ばれねばならなかったのか苦悩しつつも、運命を受け入れてたくましく成長してゆきます。
大きな困難に直面したり、思いもかけない運命が待っていた時、人は誰しも「どうして自分だけが」と思ってしまうものですが、その理不尽さを嘆くよりも、与えられた状況の中で最善を尽くす。人にできるのは、それだけなのだなあとしみじみ思いました。
バルサ、タンダ、トロガイ、狩人たちと魅力的な登場人物が次々と登場しますが、出番はそれほど多くないものの聖導師とシュガが印象に残りました。彼らはトロガイからの手紙で自分たちの誤りを知り、遙か昔に国の礎を作り上げたナナイ聖導師の記録から真実を読み取ろうとします。
最初はチャグムを殺そうとした彼らが、真実を知って逆にチャグムを守ろうとする、その行動の逆転が予想外で面白かったです。
多くの人々の活躍で、水の精霊の卵は無事に孵化することができました。しかし、バルサを主人公とする物語は、まだ続くようです。この先のお話も読んでみたくなりました。
最終更新日 : 2022-10-30