
物語は、ケルヴィンがソラリスのステーションを訪れるところから始まります。ステーションに到着したケルヴィンは、そこが異常な状態にあることに気づきます。彼の師であり、ステーションの所長のギバリャンの姿はなく、他の科学者たちも様子も変です。
不審に思うケルヴィンは、やがてその原因と直面しました。自殺した彼の元恋人ハリーが、彼の前に姿を現したのです。彼はハリーを調べますが、彼女はどこから見てもハリーそのものです。しかし、ある一定の記憶しか持っていないこと。彼から離れることを怖がること。そして殺しても死なないことがわかってきます。
本物のハリーが自殺したことに、ケルヴィンは責任を感じていました。そして本物ではないと知りながら、やがてケルヴィンは偽物のハリーを心から愛するようになります。しかし、それは彼女自身の希望によって、打ち切られました。
物語の合間に、ソラリスが発見されてから、どのように研究されてきたかが詳細に語られます。数多くの科学者が、様々な仮説を立てましたが、どれもソラリスで起きていることを完全に説明できません。やがて物語は、哲学的な考察へと進みます。
宇宙に進出した人類は、人間という枠組みで全てを理解しようとしました。しかしソラリスは、明らかに知性があると認められながらも、人がソラリスを理解することはできないのです。人類の知性とは異なる、ソラリス独自の知性でソラリスは活動しているのです。
この結末には、拠り所をなくして何もないところに放り出されたような不安とやるせなさを感じました。しかし、人と全く異なるものと出会うということは、そのくらい人知を超えたことなんだと深く納得もしました。
人類とソラリスは、この先も互いに理解し合うことはないでしょうが、それでもなお互いがそれぞれの理によって存在していることは認めなければならないでしょう。
最終更新日 : 2022-10-30