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2020-07-23 (Thu) 22:08

雲/エリック・マコーマック


エリック・マコーマックさんの「雲」を読み終えました。

物語の語り手ハリー・スティーンは、メキシコへの出張中に偶然立ち寄った古本屋で、「黒曜石雲」という古書を目にしました。その本に書かれたダンケアンというスコットランドの小さな町の名が、彼の注意を引きつけたのです。若き日に、ハリーはその町に滞在したことがあったのです。

トールゲートと呼ばれるスラム街で育ったハリーが、なぜその町に行くことになったのか。そして、そこでミリアムという女性を心から愛するようになった経緯。互いに愛し合っていると信じていたハリーでしたが、ミリアムは別の男性との結婚を承諾してしまいます。

傷ついたハリーは、その場所から逃げ出すように去り、船員として働き始めました。そこでハリーは、デュポンという医者と知り合います。デュポンと親しくなったハリーは、船を下りて彼と行動を共にすることになります。さらに紆余曲折の末、ハリーはゴードン・スミスという経営者と親しくなります。

一方、現在のハリーは手に入れた本の由来を知るために、スコットランドの専門家に本を送って、詳しい調査を依頼します。本の調査はなかなかはかどりませんが、ハリーの数奇な過去の物語が現在と結びついたところで、本の由来や彼を捨てたミリアムの行く末を知ることになります。

怪奇と幻想が交錯する、ゴシック小説のような赴きのある作品でした。時に残酷な場面もありますが、生々しさがなく淡々と読めるのがよかったです。その一方で、次に何が起きるのか予測不能なドキドキ感が常にあって、うっかり読み始めたら最後まで読み通していました。(^^;

読み終えた後に感じたのは、この世で一番怖いのは人間だなあと思いました。自分以外の他人が、本当は何を考えているのか、それを知ることはできません。もっと言えば、自分自身が何かの時にある言動をした理由さえ、本人にもわからないことがあります。

物語の中で、ハリーは恐ろしい経験を何度もします。しかし本当に恐ろしいことは、ごく普通に見える穏やかな日常の中に潜んでいるように思いました。

最終更新日 : 2020-07-23

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