川添愛さんの「白と黒のとびら オートマトンと形式言語をめぐる冒険」を読み終えました。
この本では計算理論の基礎を、ファンタジー小説の形で学ぶことができます。主人公はガレットという少年です。彼は塔の魔法使いとして知られるアルドゥインの下で魔術について学んでいます。しかし、彼に与えられるのは多くの雑用と、白い○と黒い●で構成される意味不明な古代ルル語の勉強でした。
最初は自分は魔法使いに向いていないのではないか、師匠は自分に魔法を教える気がないのではないかと、ガレットの心は揺れ動きます。しかし、白と黒の扉を持つ不思議な部屋の謎を解き明かしながら、彼は次第に魔法について学んでいきます。
序盤は物語としてあまり動きがありませんが、中盤でアルドゥインの元弟子が現れてガレットと対決することになるあたりから、物語としても面白くなりました。物語終盤の展開が、やや駆け足なのが残念でしたが、最後はきれいに物語はまとまって満足できる内容でした。
計算理論からみると、ガレットが装置派と規則派の対立に巻き込まれるあたりから、難易度が上がる感じでした。ガレットの考えを追おうと思ったら、面倒でもメモを書いて書かれている内容を確認しながら読み進める方がいいと思います。
・・・私は物語の続きが気になったので、理論の部分は斜め読みしちゃいましたけど。(^^;
最終更新日 : 2020-07-10