Eテレの「100分de名著」でカントの「純粋理性批判」が取り上げられていたので、テキストを読んでみました。
以前にも西研さんの哲学の入門書は読んだことがありますが、この本はそれをさらにかみ砕いてわかりやすく解説されている本だと思います。冒頭で「純粋理性批判」の全体像が示されているのもよかったですし、巻末に難しい用語の解説があるのもよかったです。
文中で何度か、この本がやがてフッサールの現象学へと繋がってゆくという説明がありましたが、西研さんや竹田青嗣さんの著書でフッサールの現象学に興味を持ったので、それと「純粋理性批判」とのつながりもよく理解できました。
根本的に答えの出せない問いがあること、理性の危うさの指摘などは興味深かったのです。しかし道徳に対する考え方から、神の存在や魂の不滅が要請されるという展開には納得しかねました。もっとも、カントがこの本を発表したのが18世紀ということを考えると、当時としては非常に革新的な内容だったのだとは思いますが・・・。
最終更新日 : 2020-07-08