今回は数学ガールの秘密ノート・シリーズの中でも、異色の内容でした。今回から新しいキャラクター、ユーリの友人ノナちゃんが登場します。ノナちゃんは、数学が苦手な女の子です。なので今回の内容は、数学としては簡単なものばかりです。
"僕"はユーリに頼まれて、ノナちゃんに数学を教えることになります。最初のうち"僕"は、ノナちゃんに教えたことが理解できているのか、理解できてないのか、わからず戸惑います。それは"僕"の教え方やノナちゃんの考え方に、原因があることがわかってきます。
勉強は暗記して覚えるもの。すぐに答えを出さなければいけないもの。間違えてはいけないもの。間違えたら怒られるもの。わからないと言ってはいけないもの。そうノナちゃんは思い込んでいます。
そしてお話が進むにつれて、ノナちゃんの状況が見えてきます。どうやらノナちゃんは、誰かに「どうしてこんなこともわからないの?」と怒られ続けてきたようです。それがノナちゃんを萎縮させていたのです。
"僕"とユーリは、そんなノナちゃんに間違えてもいい、質問してもいい、すぐにわからなくてもいいと教えていきます。
そしてノナちゃんは、最終的に自分が自分の先生になります。この最後の文章を読んだ時、思わずほろっとしてしまいました。
まさか、数学ガール・シリーズを読んで泣けるとは思いませんでした。(;_;)
この本を読んでいる途中で、これは教わる側のためではなく、教える側にとって考えさせられる内容だと気づきました。自分の過去を振り返っても、教わる側の気持ちがわからない先生に傷つけられたことが何度もあります。
なぜ答えがわからないと殴られて、答えを間違えると大勢の前で笑いものにされて、どうして学ぶことが楽しいと思えるでしょうか!?
教える側は、教わる側より"学ぶ"という道の少し先にいるだけという謙虚さを忘れないこと。教わる側は、常に寄り添ってくれる"自分"という先生が一緒にいることを忘れないこと。
最終更新日 : 2022-10-30