日々の記録

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昨日亡くなられた(涙)、眉村卓さんの「EXPO'87」を読み終えました。

この作品は、1970年の大阪万博に先立つ1968年に書かれた作品です。1987年に再び、日本で万博が行われることになった世界が舞台です。物語は開催の4年前から始まり、万博が開催されるところで終わります。

万博に出品する企業の1つ、大阪レジャー産業は社長が急病で倒れて、専務の豪田が陣頭指揮を執ることになります。財閥系に属さない大阪レジャー産業にとって、万博で自社の技術力をアピールすることに大きな意味がありました。しかし、対抗企業の妨害もあり、それは順調には進んでいません。

そして大阪レジャー産業は、複数のプランニング会社からアイディアを募ります。その1つが、シン・プランニングでした。その代表の山科は、このチャンスを利用して業績が落ち込んでいる会社を建て直そうとしています。有能な専門家を集めた集団として業績をあげてきたシン・プランニングでしたが、今では有能な人材は大手企業に引き抜かれて、以前ほどの力はなくなっていたのです。

山科には作家の妻・紀美子がいますが、2人の関係は冷え切っています。紀美子はふとした成り行きから、女性の権利拡大を訴える家庭党と関わり、その活動に協力することになってしまいます。さらに万博反対派の対策のために設置された、万博監視員にも選ばれました。

万博反対を訴えるのは、組織や団体だけではありません。この時代には、タレントを越えたビッグ・タレントという存在がいて、彼らは豊富な資金と綿密な計算に基づいて、人々の嗜好を満たす存在として影響力を持っていました。
その1人・朝倉遼一は、ビッグ・タレントの中でも特に秀でた人物でした。朝倉もまた、万博反対を訴えます。

それぞれの勢力が、それぞれの思惑で動く中、財閥系の企業が密かに養成した産業将校と呼ばれる者たちが活動を開始しました。彼らは徹底した教育を受けて、幅広い専門知識と強靱な体力を持っています。最初は財閥の命じるままに活動を開始した産業将校でしたが、海外勢力との対立が激化する中で、産業将校同士の連携を強めて彼ら自身がコントロールする側へと代わっていきます。

そして、なんとか万博が開催された時、日本は産業将校が大きな力を持つ、効率や能力重視でさまざまな出来事がコントロールされた世界になっていたのでした。

物語は複数の視点から描かれていく、ディストピア小説といった雰囲気です。物語に登場するテクノロジーは、現在も実現されていない圧縮記憶や実感装置などが、当たり前の存在となっています。しかし、日本市場を牛耳ろうとする海外勢力との戦い、仕事に追われて家庭を省みる余裕さえない労働者など、時代に先駆けている描写もあって凄いなあと思いました。

こんな素晴らしい作品を生み出された眉村さんが亡くなられたのは、本当に残念で悲しいです。しかし眉村さんが残された作品を、私はこれからも読み続けます。

こんな作品があったのですね、眉村卓さんといえば、ねらわれた学園、時をかける少女、が有名過ぎるほどで今でもリメイクされてますからね

2019.11.05 08:33 URL | ぬるーくまったりと #- [ 編集 ]

こんにちは。コメントありがとうございます。

眉村卓さんは、やはりジュブナイル小説を覚えてらっしゃる方が多いですね。でも司政官シリーズをはじめとする大人も楽しめるSFも数多く書かれていますので、再評価されて欲しいですね。とはいえ、書籍の多くは絶版状態で、本屋で手に取る機会も少ないのがファンとしては残念です。司政官シリーズやジュブナイル作品の一部以外は、電子書籍になってないのも残念です。

最後に1つだけ訂正させていただくと、「時をかける少女」は筒井康隆さんの作品です。眉村卓さんのタイムトラベルものだと、アニメ化されたのは「時空の旅人」(アニメ化前は「とらえられたスクールバス」というタイトルでした)ですね。(^^;

2019.11.05 21:05 URL | 横溝ルパン #- [ 編集 ]

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