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2018-08-11 (Sat) 17:34

カデナ/池澤 夏樹

カデナ池澤夏樹さんの「カデナ」を読み終えました。

タイトルからもわかるように、沖縄の嘉手納基地が絡んだ物語です。とはいえ現代が舞台ではなく、ベトナム戦争末期の時代の物語です。物語の語り手となるのは、アメリカ人の父とフィリピン人の母を持つフリーダ=ジェイン、沖縄生まれでサイパンで暮らし終戦と共に帰国した嘉手苅朝栄、沖縄のロックバンドでドラマーをしているタカ。この3人の視点から、物語が語られていきます。

フリーダは准将つきの秘書官をしていていますが、ある日ベトナムにB-52で空爆を行っているパトリックという機長と知り合います。パトリックは精神的なストレスが原因で、性的に不能になっていますが、フリーダと付き合うことになりました。

それはフリーダの母から依頼された、米軍の空爆予定地を知らせるという任務の隠れ蓑として最適でしたが、やがてフリーダは1人の人間としてパトリックを愛するようになっていきます。パトリックは空爆することで、大勢の人を殺している罪の意識に悩まされていました。そんな人間らしさが、2人を結びつけたのです。

サイパンから帰国した朝栄は、しばらくは運送業で利益を上げました。やがて幸子という妻を得て、妻が商売として始めた食堂が軌道に乗り、今では半分以上は趣味で模型と無線のお店を経営しています。ある日、朝栄はサイパン時代に知り合った安南さんという男と再会しました。彼はベトナムの間諜をしていました。無線装置を持っていた朝栄は、そんな安南に協力するのでした。

フリーダと朝栄を結ぶのが、ドラマーのタカでした。フリーダの家の草花の世話をするついでに、タカはフリーダから受け取った情報を朝栄に渡しました。それを朝栄が、あらかじめ決められた暗号でベトナムへと通信していました。

さらにタカは、姉の関わっていた反戦活動から、沖縄の米軍から逃げ出す兵士の援助もすることになりました。素人ばかりの集まりでしたが、計画は何とか成功して彼らは脱走兵をスウェーデンに逃がすことに成功したのでした。しかし、こちらは本土の協力者に逮捕者が出たことで、なんとなく下火になりました。

そして米軍の北爆も下火になり、やがて爆撃そのものが中止されました。しかしその前に、離陸に失敗したB-52に搭乗していたパトリックが命を落としました。彼のB-52は、離陸直前に異常が発生しました。そのまま滑走路を進むと、機は核兵器が保管されている場所に激突する危険がありました。そこでパトリックは、無茶を承知で進路を変えていたのです。

そしてベトナム戦争は終わりました。情報漏洩に関わったフリーダ、朝栄、タカ、安南は奇跡的に誰も捕まることはありませんでした。その後フリーダは、タカと結婚しますが、子供を生まれるのを機会に母のいるフィリピンに帰国することにしました。しかし、タカはそれを受け入れず、2人は別れて生きることになりました。

物語全体は、本当に淡々としていました。4人の協力関係が生まれるまでだけで、物語の1/3くらいが経過します。
殺伐な描写はありませんが、フリーダの過去から日本軍がかってそこで何をしたのか、朝栄さんからはサイパンの日本人が経験したこと、タカと脱走した米兵マークとの不思議な信頼関係など、様々な思いが読後に残りました。

最終更新日 : 2018-08-11

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