
初めてのビブリオバトルは、残念ながら失敗に終わった空。しかし、そのおかげでビブリオバトルの本質をつかむことは出来ました。これがちゃんとクライマックスの伏線になっているのが上手いですね。
そして、双子沢高校・社会学研とのビブリオバトルの日が近づきました。そんな中、思いがけない事実が明らかになりました。対戦相手の部長と副部長がBIS学園を訪れた時に、ミーナを傷つけるような言葉を口にしていたのです。
緊急集会を開いたビブリオバトル部は、その問題について話し合いました。部長の聡たちが調べたところによると、双子沢高校の部長・蟹江は、イケメンで人当たりのよい裏側に、かなり偏った差別思想を持っていました。そんな相手と対戦することを、中止することも検討されました。しかしビブリオバトル部は、あえて彼らに挑戦することにしました。
ビブリオバトル部は、相手が不正な手段を執ることも考慮した上で、作戦を練りました。しかし、空はそんな雰囲気に違和感を持ちました。双子沢との対戦には、部長の聡、副部長の明日香、そして武人が出場する予定でした。しかし3人が選んだ本が硬すぎたことから、聡に代わって空が出場することになったのです。
空の目的は、相手に勝つことでも、屈服させることでもありませんでした。自分とは違った価値観を持つ武人に、自分が紹介した本を読んでみたいと思わせたかったのです。
上巻は面白いんだけど、細かな部分が気になる感じでした。しかし、下巻では細かなことなど吹き飛ぶ面白さでした。
バトルを経験した空の成長、そして武人の微妙な心境の変化など、物語としても面白かったですが、それ以上にそこで語られているテーマや紹介されていた本が気になりました。
特に心に残ったのは、根拠のない情報を真実だと思い込む怖さ。どんな反吐が出そうな思想でも、それを発表する自由は保障されなくてはいけない。そしてそんな思想に反論する自由もあること。そしてコードギアスのルルーシュのセリフを思わせる、「撃っていいのは撃たれる覚悟がある奴だけだ」でした。
最終更新日 : 2022-10-30