
マンハッタンを歩き回る精神科の研修医ジュリアンの見た光景、思い出した記憶、その時々の思いなどが交錯しながら語られていく作品です。
大きなストーリーがあるわけではなく、現在と過去、マンハッタンからジュリアスの故郷ナイジェリアやお祖母さんを探して訪れたブリュッセルと、時も場所も自由自在に行き来します。
そんな構成の作品なのですが、読み始めたら引き込まれて、最後まで読み通しました。物語の中でジュリアンがあちこち彷徨うように、読者もそれぞれのペースで物語の中を歩き回るような感覚の作品だと思いました。
1つ1つのエピソードを楽しむのもいいですし、複数のエピソードがまとまって1つの形が見えてくるものを楽しむこともできます。そして読み通した時、心の中にいろいろなものが残っていることに驚きました。
最終更新日 : 2022-10-30