
アメリカとの開戦と同時に、真珠湾とミッドウェイを同時奇襲攻撃をかけた日本軍。真珠湾での作戦は、それなりに戦果を上げましたが、ミッドウェイでの戦いでは日本軍は大きな被害を出していました。米空母とミッドウェイから航空部隊の攻撃により、赤城と蒼龍の2隻の空母を失っていたのです。
今回は、蒼龍の航空部隊の一員であった魚住一飛曹の視点から物語が始まります。蒼龍から出撃した魚住一飛曹は、想定外の数の敵を相手にすることになりました。そのままミッドウェイへと進んだ魚住一飛曹でしたが、そこには目標としていた敵航空部隊の姿はありませんでした。
作戦を終えて母艦に帰還した魚住一飛曹は、蒼龍が敵の猛攻を受けているのを目にすることになりました。母艦への帰還を果たせなかった魚住は、不時着水して駆逐艦・舞風に救助されたのでした。
大きな戦力を失った日本の機動部隊でしたが、残された空母・飛龍を中心にして戦力の再編成を行いました。それと共に、真珠湾に進出していた部隊との連携を目指します。そんな中、舞風から飛龍へと移った魚住でしたが、愛機を失った彼にそこでの出番はありません。そして魚住は、上官である塩崎中尉と共に、海兵隊の母艦となっている光陽丸へと移ることになりました。
それは魚住にとっては、屈辱的なことでした。海兵隊は海軍から抽出された兵士で構成される部隊ですが、そこに集められたのは技量が未熟であったり、行いに問題がある半端者の集団だと思われていたからです。そんな風に海兵隊を馬鹿にして転籍した魚住でしたが、装備の充実より技量の向上を重視する海軍と、少ない人手や未熟な兵士を支援するために装備の充実を重視する海兵隊の違いに驚くことになりました。
そして、海兵隊によるミッドウェイへの上陸作戦が実施されました。上陸部隊を指揮するのは、棟方兵曹長です。敵前への上陸という危険な任務を、海兵隊はなんとか達成します。しかし、上陸はしたものの敵部隊の反撃を受けて、それ以上の侵攻することを阻止されていました。ミッドウェイ周辺には、米潜水艇部隊も展開しており、後方からの補給も滞る上陸部隊は、危機にさらされます。おまけに、本来なら海兵隊を支援するはずの航空部隊が、飛龍を中心とした海軍部隊の索敵のために駆り出されていて、上陸部隊は航空部隊の支援を受けることもできない状況です。
ここに颯爽と登場したのが、海兵隊司令・蓮見大佐です。今回の蓮見大佐は、いつもの艦戦ではなく、陸軍から借り受けた旧式の連絡機でした。敵前に強行着陸した蓮見大佐は、前線の部隊に指示を与えて、イースタン島の占拠を目指します。
蓮見大佐は、例によって無茶としか思えない作戦の強行を棟方兵曹長に命じます。そんな作戦がうまく行くのかと、棟方が不安に思う中、どこからともなく海兵隊の航空部隊が現れて、彼らの作戦を支援します。
それが、蓮見マジックの始まりでした。なんと蓮見大佐は、海軍の支援に向かった航空部隊が母艦に帰還するついでに(!)、ミッドウェイ上陸部隊の支援を行わせたのです。海兵隊には未熟な搭乗員が多いことを逆手にとって、母艦への進路を誤ってミッドウェイに進出してしまったことにしたのです。(^^;
さらに蓮見マジックは続き、航空支援を受けた上陸部隊は、敵の滑走路を占拠することに成功しました。そこに現れたのは、空母から発艦はできるけれど、着艦はできない若年兵の航空部隊です。棟方たち上陸部隊が、滑走路の占拠に成功していなければ、彼らは母艦に着艦することもできず、不時着するしかありません。1つ何かが狂えば、完全に破綻する無茶な作戦のはずなのに、結果をみれば収まるべき場所にきちんとピースが収まってしまう不思議。これはもう、蓮見マジックとしか言いようがありません。
というわけで、ミッドウェイに侵攻した海兵隊は、その占拠にほぼ成功しました。しかし、同時に上陸作戦を決行した陸軍部隊は苦戦しているようですし、敵空母の殲滅を目的として発艦した海軍航空隊の作戦は完全な空振りに終わりました。
最終的な戦いの行方は、まだどう転ぶかわからない状況ですね。
最終更新日 : 2022-10-30