アニメと読書の感想をメインにしたブログです。 ☆ゆるゆるっと更新中です☆
タタール人の砂漠/ブッツァーティ
2019-04-02 Tue 17:10
ディーノ・ブッツァーティさんの「タタール人の砂漠」を読み終えました。

新任将校のジョバンニ・ドローゴは、最初の任地として命じられたバスティアーニ砦に赴きます。そこは国の北方にある、辺境の地でした。最初はすぐにも、そこから転任したいと考えたドローゴでしたが、やがて自分の意思で砦にとどまり、北から現れるはずの、タタール人の襲撃を待ち続けます。

基本的な物語はそれだけで、砦の生活には事件らしい事件も起きません。ようやく敵が来たかと思えば、それは新たな国境を策定するための部隊だったりと、戦闘は起きないままお話は進みます。そして若かったドローゴも、いつしか年を重ねて引退の時が迫ります。

そして、やっと敵が現れます。しかし、その時には年老いたドローゴは病に冒されていて戦いに加わることができません。彼は悔しい思いを抱えたまま、砦から離れることを余儀なくされます。

ほぼ何も起きない作品なのに、静かな緊張感が持続していて読み続けさせられました。
来るあてのない敵を待ちながら、単調な勤務を続けるドローゴの人生は、自分の人生と重なるように思えました。多くの人の人生には、華々しい出来事があることもなく、単調な毎日を積み重ねて、やがて終わりを迎えます。

もう1つはっとさせられたのは、年を重ねて昇進したドローゴが、休暇を終えて砦に帰ろうとした時、かっての自分と同じように彼に声をかける新任将校が現れたことです。歴史は繰り返されて、同じように循環する。それを見せつけられたような気がしました。

物語が突きつける、残酷な人生の真実。それはとても切ないですが、最期にドローゴがそれを受け入れたかのように、自分はそれとどう向き合うのか、読み終えた後も考えさせられました。
別窓 | 海外文学 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
数学ガールの秘密ノート 式とグラフ(再読)/結城 浩
2019-03-29 Fri 17:09
結城浩さんの「数学ガールの秘密ノート 式とグラフ」を再読しました。

このところ忙しさを理由に、本を読んだり数学の勉強をできてないなあと思ったので、久々に結城浩さんの数学ガール・シリーズを読むことにしました。本編の方は少し難易度が高いので、とりあえずお手軽な秘密ノート・シリーズを読み返すことにしました。(^^;

式とグラフの関係について、とてもわかりやすくまとめられていて読みやすかったです。でも恒等式とか、和と差の積は2乗の差とか、基本的なことも忘れていて焦りました。(^^; 勉強は毎日の積み重ねが大事だと、あらためて思いました。

シリーズの中でも薄い本でしたので、練習問題をこなしつつも、手待ち時間などにちょこちょこ読んでいましたが、1週間くらいで読み終えました。やはり結城先生の説明は、ていねいでとてもわかりやすいですね。(^^)
別窓 | 結城 浩 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
C言語ポインタ完全制覇(改訂版)/前橋 和弥
2019-03-18 Mon 18:14
久々にCでプログラミングしようと思ったら、ポインタまわりの理解が怪しくなっていたので、この本を読みました。(^^;

同じ著者の旧版も持っていますが、改訂版ではC99やC11についても触れられているので、どうせならと新しいものを読みました。第1章〜第3章でポインタについて基本的なところから解説して、第4章と第5章ではそれを踏まえた実践編、第6章は本編で書ききれなかった細かな部分について触れています。

第4章以降はマニアックな感じなので^^;、普通にプログラムを書くなら第3章まで読んでおけば何とかなりそうですね。
一番気になっていたC99やC11での変更は参考になりましたが、根本的にCの文法が変態的なのは変わらないので、やむを得ずCを使わなければならない場面以外では、他の言語を使った方が幸せになれそうな気がしました。(^^;
別窓 | コンピュータ | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
追想の探偵/月村 了衛
2019-03-02 Sat 20:34
月村了衛さんの「追想の探偵」を読み終えました。

この作品の主人公は、特撮旬報という雑誌を1人で切り盛りする編集者・神部実花です。彼女は幼い頃から特撮が大好きで、それが高じて特撮関係を扱う出版社で働いています。

そんな彼女の特技は、ほぼ見つけるのが不可能と思われるような人物を探し出すことでした。実花は、その特技を活かして特撮旬報の目玉となる企画を実現させます。

物語のメインは、そんな実花の人捜しです。この本には、「日常のハードボイルド」「封印作品の秘密」「帰ってきた死者」「真贋鑑定人」「長い友情」「最後の一人」の6作が収録されています。

これまでの著者の作品と雰囲気が異なるので、最初は少し戸惑いましたが、ライト・ミステリー作品としてはそこそこ面白かったです。

6作の中で一番好きなのは、「封印作品の秘密」です。逆に今ひとつだったのは、「最後の一人」でした。
別窓 | 月村 了衛 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
黒涙/月村 了衛
2019-02-24 Sun 18:25
月村了衛さんの「黒涙」を読み終えました。

前作「黒警」で、警視庁の組織犯罪対策部の沢渡は、義水盟の沈と兄弟の契りを結び、警察内部の黒色分子として活動することになりました。

今回は、中国に対する防諜が大きな問題となり、特別チームが編成されることになりました。その中に、なぜか冴えない警察官の沢渡も選ばれました。沢渡は中国語に堪能だったために、今回のメンバーに選ばれました。しかし、捜査チームが調査を続けても、全く成果が上がりません。

そこで沢渡は、沈の人脈を頼り、インドネシアの青年実業家ラウタンに捜査への協力を求めました。表向きは実業家のラウタンですが、沢渡と同じく沈とは兄弟の契りを結んでいました。ラウタンからの情報により、捜査は急激に進展します。

ところが、ラウタンにシンシアという中国諜報機関の美女が接触してきました。ラウタンは危険を承知で、シンシアとの関係を続けます。そして物語は、悲劇的結末を迎えます。

前作と比べて、中盤以降が物足りませんでした。ラウタンとシンシアの関係が、物語に予想外のイレギュラーをもたらすのかと思えばそうでもなく、後半の展開が駆け足すぎる上に残虐すぎて読み終えた後に気分が悪くなりました。(+.+;
別窓 | 月村 了衛 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
黒警/月村 了衛
2019-02-20 Wed 20:45
月村了衛さんの「黒警」を読み終えました。

警視庁の組織犯罪対策部に所属する沢渡は、冴えない警察官です。警察の悪い慣習に染まり、上のいうことには逆らわず、もめ事には積極的に関わらず、離婚した妻への慰謝料の支払いにも困り、死んだような毎日を送っていました。

そんな沢渡は、偽造商品の販売経路の調査中に、かって知り合ったヤクザ・波多野の出会いました。なぜか波多野も、沢渡が追っている内容に関心を持っています。さらに、そんな2人に裏社会の組織・義水盟の沈という人物が接触してきました。この出会いをきっかけに、物語の中盤以降で沢渡は大きく変わることになります。

お話の中盤までは、沢渡の情けなさにうんざりさせられましたが、中盤以降で覚悟を決めてからの活躍はとても面白かったです。この作品は続編も刊行されているので、そちらも続けて読んでみたいと思いました。
別窓 | 月村 了衛 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
東京輪舞/月村 了衛
2019-02-19 Tue 19:03
月村了衛さんの「東京輪舞」を読み終えました。

物語の主人公は、公安警察官の砂田修作です。公安以前は、田中角栄邸の警備を担当していた砂田は、邸宅への不法侵入者を阻止した時に負傷しました。そんな砂田を、角栄はわざわざ見舞いに訪れました。そんな角栄に、それから砂田は親近感を持つようになりました。

ところが、彼が公安に配属されて最初に手がけた大きな事件は、皮肉なことにロッキード事件に関わるものでした。事件の捜査が進む中、砂田たちは事件の背後にソ連が関与しているらしいことを突き止めました。その事件の捜査中に、砂田はKGBのクラーラ・ルシノワという女性と関わることになりました。

ロッキード事件の捜査が終わった後も、東芝COCOM違反事件、ソ連崩壊、オウム真理教による地下鉄サリン事件、警察庁長官狙撃事件と、数々の事件に砂田は関わることになります。その中で、何度か砂田はクラーラと再び顔を合わせることになります。敵対する相手として出会った砂田とクラーラですが、2人は互いに相手に惹かれるものを感じていたのです。

砂田は部下だった眉墨圭子と結婚した時期もありましたが、この結婚は長続きしませんでした。砂田の心に、クラーラの影があることを圭子は見抜いていました。また圭子が、砂田以上に公安警察官として優秀だったことも破局の原因となりました。

こうして物語は、青年だった砂田が老人となり、警察を退職したところまで描かれて完結します。その間に砂田は、さんざん警察内部の腐敗を見せつけられました。かっては砂田と意気投合して、共に理想を語った上司の阿久津には理想を追求する意思はなく、腐敗の内部に取り込まれて、それを隠蔽する側へとまわりました。

この作品は、舞台が日本で自分自身もリアルタイムで当時の状況を知る事件が登場して、物語に引き込まれました。
過去も現在も日本国内において、諜報機関同士の駆け引きや警察内部の権力闘争が行われているかと思うと、この世界はどれだけ深くて複雑なんだろうと感じました。
別窓 | 月村 了衛 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
蛇、もっとも禍し(下)/ピーター・トレメイン
2019-02-08 Fri 20:33
ピーター・トレメインさんの修道女フィデルマ・シリーズ第4作「蛇、もっとも禍し(下)」を読み終えました。

上巻では、2つの殺人事件と消えたエイダルフの行方という大きな問題に挑むことになったフィデルマでしたが、その全容ははっきりしないままでした。下巻では、それが次々と明らかになっていきます。その背後には、アイルランドの古の宗教にまつわること、この時代のアイルランドの勢力争い、兄妹の反目と元夫妻の反目など、さまざまな要素が入り組んでいました。

中盤以降の展開が、少し急すぎる気はしましたが、ラストの裁判官の前でのフィデルマの弁論は読み応えがあって面白かったです。修道女ブローナッハとベラッハの関係など、読んでいる途中で何となくそうかな!?と思っていた部分もありましたが、殺人事件の犯人が誰なのかは最後までわからなかったので、ドキドキしながら読みました。

最後の解説は、田中芳樹さんでした。その中で田中さんが、「ヒロインのフィデルマがあまり好きじゃない」と書かれているのに、ちょっと共感しつつも^^;、そう思ったのが私だけじゃなくてよかったと思いました。
今回はフィデルマ以上に高慢なドレイガン院長という人物がいたおかげで、いつもほどフィデルマの高慢さが目立たなかったのかも。(^^;
別窓 | 海外推理 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
蛇、もっとも禍し(上)/ピーター・トレメイン
2019-02-03 Sun 19:13
ピーター・トレメインさんの修道女フィデルマ・シリーズ第4作「蛇、もっとも禍し(上)」を読み終えました。

しばらくこのシリーズを読んでなかったなあと思ったら、第3作を読んだのはなんと3年前でした。(^^;

今回のお話では、フィデルマが"三つの泉の鮭"女子修道院で首なし女性の死体が発見された事件の調査に赴きます。
ところが、その途中でフィデルマの乗った船は、無人で漂っている船と遭遇しました。船の様子を調べたフィデルマは、そこで自分がエイダルフに渡した書籍を発見します。ローマにいるはずのエイダルフが持っているはずの物が、なぜここにあるのか。フィデルマは不審に思い、エイダルフの身に何か起きたのかと案じます。

しかし船には、これといった手がかりもなく、結局フィデルマは当初の目的地である修道院へと向かいます。現地についてみると、修道院の院長とその土地の有力者が対立していました。事件の調査を進める中で、対立する2人が兄妹だと知ります。2人は過去のしがらみが原因で、対立していたのです。

そして事件の調査が進まない中、新たなる殺人事件がおきました。修道女の1人が、何者かに最初の死体と同じように殺されていたのです。その犯人を、院長は身体に障害をもつベラッハ修道女だと決めつけ、ほかの修道女たちを煽って彼女を抹殺しようとします。しかし、その目論見はフィデルマの活躍で阻止されました。

というわけで、上巻ではさまざまな事件や状況が明らかになりますが、その真相はまだ全くわかりません。2つの殺人事件と、エイダルフに託した本をフィデルマが見つけたことの間には、何か関連があるのでしょうか。下巻で、どんな真相が明らかになるのか楽しみです。(^^)
別窓 | 海外推理 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
信長の原理/垣根 涼介
2019-02-01 Fri 18:03
垣根涼介さんの「信長の原理」を読み終えました。

著者には先に、「光秀の定理」という明智光秀を主人公とするお話がありますが、この作品では信長側から物語が始まります。

物語の中盤くらいまでは、信長自身の視点でお話が動いていきます。幼い頃から癇が強く、周囲から持て余されていた信長が、蟻の行動を観察していて全体の中で、やる気があるのが2割、どっちつかずが6割、やる気がないのが2割という法則に気づきます。それが、その後の信長の行動を決定する上で大きな役割を果たすことになります。

光秀の時の確率の話もそうでしたが、今回の信長の気づいた原理もビジネス書などで話題にされたものでしたので、新鮮味に欠けると思いました。しかし、一方で神も仏も信じないと公言する信長が、松永弾正と出会い利害とは無関係に尽くされたことが、その後の松永の裏切りへの対処に微妙な影響を与えることになるのは興味深かったです。

本能寺の変が描かれたところで物語は終わりますが、全編を通して見た時、共に悪逆非道の限りを尽くしていると世間では言われている信長と松永弾正が、互いに共感し合うところがあったというのが一番面白かったです。

後半は視点が信長から光秀に移り、彼が精神的に追い詰められて、信長に刃を向けざるをえなくなる事情が描かれます。
それはそれで面白くはありましたが、できればもっと信長視点で物語を進めて欲しかったですね。(^^;
別窓 | 垣根 涼介 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
知的生活の設計/堀 正岳
2018-12-10 Mon 18:03
同じ著者の「ライフハック大全」と会わせて読み始めましたが、後から発売されたこちらを先に読み終えました。(^^;

この本では、知的生活のための様々なアイディアや考え方が紹介されています。知的生活というと堅苦しいイメージがありますが、自分が本当に大好きなことを積み重ねて、好きを消費するだけでなく、得たものから新たな価値を発信しようという提案をされています。

そのための考え方や整理方法、発信方法などを説明する中で、ツールやアプリ、サービスなどが紹介されます。著者はこういったツールの導入に積極的で、それぞれは興味深いものでした。ただ、実際にそれを導入するとなると、意外と利用コストがかかりそうです。
また著者が英語に堪能なせいか、日本語化されてないアプリも紹介されていて、それがさらに敷居を高くしている気がしました。(^^;

この本で特に興味深かったのは、知的投資とファイナンスという1章があったことです。知的生活にはストイックなイメージもありますが、知識や情報を得るにはお金もかかります。自分の収入のどれくらいを知的投資と考えればいいのかから始まり、自分が発信した情報から収入を得る方法まで紹介されているのは驚きました。

もちろん、お金を稼ぐことが目的ではありませんが、それが自分のやる気の維持や知的投資のための収入につながるなら、こんないいことはないと思います。
別窓 | 読書(その他) | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
数学ガールの秘密ノート 行列が描くもの/結城 浩
2018-12-02 Sun 12:27
結城浩さんの「数学ガールの秘密ノート 行列が描くもの」を読み終えました。

「数学ガールの秘密ノート」は、読み逃しているものも何冊かありますが^^;、とりあえず最新刊のこの本を読みました。
今回のテーマは、行列です。"僕"とユーリの基本的な話から始まり、テトラちゃんとの会話でさらに複雑な内容へと進み、最後にミルカさんの登場という流れですが、今回は久々にリサが登場して、ミルカさんの話を図として示してくれたので、後半の内容もイメージがつかみやすかったです。

行列は学生時代にきちんと勉強する機会がなかったので、この本のおかげで基本的なところから学ぶことが出来てよかったです。最初は本の内容をなぞって、自分で手を動かして計算して確認しつつ読み進めていましたが、時間的な余裕がなかったので、途中からは概要をつかむだけの読み方になってしまったのが心残りです。(^^;

一度読んで全てを理解できたとは思えないので、またいつか再読したいなあ。
別窓 | 読書(その他) | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
データサイエンス「超」入門/松本 健太郎
2018-11-21 Wed 18:54
松本健太郎さんの「データサイエンス超入門」を読み終えました。

データサイエンスでは、データをどんな風に扱い、理解して分析しているのか、身近な話題をサンプルに説明している本です。個々の事例の検討はそれなりに興味深かったですが、"超入門"な本なので「ふ〜ん」という感じでした。(^^;

データサイエンスに興味を持ってもらうための本なので、詳しいことは別の本で勉強してねということなのでしょうが、分析するための資料の集め方、分析する手法についてのもう少し突っ込んだ説明が欲しい気がしました。

結局データサイエンスの考え方の流れを、ものすご〜く簡単に説明した第0章が一番「なるほど」と思ったかも。(^^;
別窓 | 読書(その他) | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
退屈すれば脳はひらめく/マヌーシュ・ゾモロディ
2018-11-21 Wed 14:51
マヌーシュ・ゾモロディさんの「退屈すれば脳はひらめく」を読み終えました。

サブタイトルとして、「7つのステップでスマホを手放す」とありますが、スマホ限定でなく、パソコンやタブレットといったデジタル機器全般に通じる内容だと思いました。

著者は育児中の経験から、退屈することの必要性に気がつきました。いっけん無駄と思える退屈している時間が、創造力の源となっていたのです。そこで著者は、自らのPodcastで参加者を募り、一緒に7つのレッスンを毎日こなすことにしました。

1つ目は、自分を観察すること。
2つ目は、移動中はスマホをしまうこと。
3つ目は、写真を撮らずに1日過ごすこと。
4つ目は、時間を奪われるアプリを削除すること。
5つ目は、静かな時間を確保するために休暇をとること。
6つ目は、いつもとは違うものを観察すること。
7つ目は、マインドフルネスとマインドワンダリングの取り入れ。

これらのレッスンを経験した結果、参加者のスマホ使用時間は若干減少しました。しかし利用時間の減少よりも重要なのは、何となくスマホを使うのではなく、自ら自覚してスマホを利用するようになったことです。

サブタイトルを見ると著者がスマホを否定しているように思えますが、彼女は今の時代に全くスマホなしで生活することは無理だと認めています。そして、スマホとの適切な距離感を知ることが大切だと訴えています。

うっかり始めたゲームに夢中になって、せっかくの休日を潰してしまったことや、人と会っている時にもSNSのことが気になってしまったり。実体験に基づく著者の主張には、とても共感できました。

スマホを使えばこんなに便利という情報はあふれていても、スマホとの適切な付き合い方を教えてくれる機会はなかなかありません。自分とスマホの付き合い方を見直したい方に、おすすめしたい本ですね。(^^)
別窓 | 読書(その他) | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
マラソン・マン/ウィリアム・ゴールドマン
2018-11-04 Sun 17:53
ウィリアム・ゴールドマンの「マラソン・マン」を読み終えました。

コロンビア大学に通う奨学生リーヴィは、歴史学を学びつつマラソン・ランナーとしても一流になることを目指しています。彼の父は、アカ狩りの犠牲となって汚名を着せられ、自殺していました。リーヴィが歴史学を専攻するのは、そんな父の無念を晴らすためでした。

そんなリーヴィの物語と並行して、怪しげな組織に所属する殺し屋らしきシラという男の行動が描かれます。なぜ2つの異なるようにみえる物語が、同時に進行するのか最初は戸惑いました。しかし、第2部の最後で一気に謎が解き明かされて、全てがつながってくるのが爽快でした。

やがてリーヴィも、怪しげな男たちから狙われるようになります。詳しく内容を書くと、ネタバレになってしまうのでこれ以上書けませんが、第3部から物語が大きく動くところも面白かったです。(^^)
別窓 | 読書(その他) | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
ガンルージュ/月村 了衛
2018-10-26 Fri 00:10
月村了衛さんの「ガンルージュ」を読み終えました。

物語の舞台は、群馬県利根郡のとある小さな町。そこに潜伏していた韓国の次期大統領候補が、彼を狙った韓国軍の特殊部隊に襲われます。町の人たちから、別荘御殿と呼ばれるその場所に、中学1年生の祐太朗と麻衣が居合わせてしまいました。特殊部隊は要人を確保すると共に、祐太朗たちも人質にとって国外へと逃亡しようとしています。

それと戦うのが、元公安の刑事で祐太朗の母の秋来律子と、PTAから目を付けられている体育教師・渋矢美晴のコンビです。律子は、公安でも有能な人材として知られていました。しかし警察内部の腐敗が原因で夫が殺され、今では辞職してこの町でひっそり暮らしていました。そして美晴の元彼も公安関係者でした。

そんな律子と美晴が、コンビを組んで特殊部隊に挑みます。戦いの中、律子は部隊を率いているのは、かって夫を殺したキルだと気づきました。しかも相手は、特殊部隊の中でも最精鋭がそろっています。こんな強敵を相手に、律子と美晴がどう戦うのか。そして祐太朗と麻衣の運命はどうなるのか!?

物語的には、著者の類似作品でおなじみの展開でした。それでも、かっての経験を元に戦う律子と、強運を武器に金属バットで戦う美晴のコンビが楽しかったです。(^^;
別窓 | 月村 了衛 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
フランス鍵の秘密/フランク・グルーバー
2018-10-23 Tue 18:32
口八丁のジョニーと力持ちのサムが活躍するユーモア・ミステリーです。

本の訪問販売をしているジョニーとサムは、とあるホテルに宿泊していましたが、宿泊費を滞納していました。ある日、ジョニーが宿に帰ると、鍵穴にフランス鍵が入れられていて、部屋に入ることが出来ません。支配人は彼が宿泊費を払わなければ、フランス鍵を外してくれそうにありません。

運良く相棒のサムが、間違って渡された隣の部屋の鍵を持っていました。そこでジョニーは、窓伝いに自分たちの部屋に入り、部屋に置いてあった物を持ち出そうとします。ところが、完全な密室になっていたはずの彼らの部屋で、見知らぬ男が殺されていました。男は年代物の金貨を握りしめていました。

男の手から金貨を取ったジョニーは、それが1822年に作られた貴重な金貨だと気づきました。殺されていた男の正体を探り、金貨の謎を調べることで、ジョニーとサムは事件の真相に近づいていきます。

お話的には、ミステリーというよりドタバタ・コメディといった感じでした。
お金もなく警察に追われる身となっても、あえて犯人が利用しないであろう高級ホテルに宿泊するジョニーの機転と口八丁には笑わせられながらも、どこか生き抜くたくましさを感じました。
別窓 | 海外推理 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
失われた時を求めて(4)/マルセル・プルースト
2018-09-30 Sun 17:39
読み始めてから1年くらいかかりましたが^^;、ようやく「失われた時を求めて(4) 花咲く乙女たちのかげに II」を読み終えました。

前巻から2年後、"私"は祖母と一緒に、ノルマンディーの保養地バルベックに滞在することになりました。物語はその出発から帰還までの数ヶ月の一夏を、これでもかというくらいに詳細に描いています。(^^;
"私"がバルベックに到着するまでで、50ページくらいかかります。初めて自宅や母から離れて暮らす"私"の詳細な心理描写など、それだけでも十分な読み応えがありました。

ようやくバルベックに到着に到着したものの、"私"は初めてのホテル暮らしになかなか慣れません。その転機となったのは、祖母のヴィルパリジ公爵夫人との出会いでした。さらに夫人の甥のサン=ルー侯爵との出会いによって、"私"はあちこちと出歩くようになります。

しかし何より決定的なのは、サブタイトルにある「花咲く乙女たち」との出会いです。最初は"私"は、彼女たちの姿を遠くから見ることしかできません。何とか彼女たちとお近づきになろうとしますが、なかなか上手くゆきません。
そんな時、"私"は画家のエルスチールと知り合います。エルスチールは、"私"がバルベックの芸術で見落としているものを指摘してくれただけでなく、乙女たちとのつながりを作ってくれました。

こうして"私"は、ようやく乙女たちと知り合うことができました。最初は彼女たちの1人1人を把握できなかった"私"でしたが、やがてそれぞれの個性に魅了されます。中でもアルベルチーヌという娘が"私"の心を引きつけました。"私"はアルベルチーヌとさらにお近づきになろうとしますが、"私"の下心は娘たちに見抜かれているようで上手くゆきません。

そんな中、アルベルチーヌが早朝からパリに出かけるために、"私"の泊まっているホテルに宿泊することになりました。
アルベルチーヌは、かなり思わせぶりな言葉で"私"を誘惑します。しかし、その夜にアルベルチーヌの部屋を訪れた"私"は、あっけなくアルベルチーヌに肘鉄を食らわされてしまいます。(^^;

そんなアルベルチーヌの態度に、"私"はショックを受けますが、ジルベルトへの恋に破れた時のように荒れることもなく、その後も適度に距離を置きつつアルベルチーヌや他の乙女たちとの関係は続きます。

しかし、その時間も永遠に続くわけではありません。滞在を終えた乙女たちは次第にバルベックを離れ、ホテルに残る人たちの姿も少なくなります。そして"私"も、バルベックから帰還する日が来るのでした。

要約すれば、この巻は"私"がバルベックで過ごした一夏の物語です。しかし、それが詳細に650ページほどの分量で詳細に描かれます。風景の描写も多いですが、それ以上に緻密に描かれているのがバルベックに集まる様々な人々の言動や、"私"の心の動きです。

前巻と同じく、細かに章立てされているわけでなく、延々と物語が続いてゆくので、読むのを一区切りするタイミングが決めづらいです。結局、読み疲れたところで止めて、次に読んだ時に内容がつながらなかった時は少し前から読み返して記憶を繋いでゆく方法で読み切ることが出来ました。(^^)
別窓 | 海外文学 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
火星の人/アンディ・ウィアー
2018-09-21 Fri 00:05
火星の人アンディ・ウィアーさんの「火星の人」を読み終えました。

3回目の有人火星探査が行われていました。火星に無事到着したメンバーでしたが、強烈な砂嵐に襲われて火星からの退去を余儀なくされました。その過程で、折れたアンテナの直撃を受けたマーク・ワトニーは、砂嵐の中に消えました。船長はギリギリまで彼を探しましたが、他のメンバーを守るためにワトニーを残して火星から離脱しました。

すでに死んでいると考えられたワトニーでしたが、彼は奇跡的に生き延びていました。しかし通信機は破壊されており、彼は地球に連絡することさえできません。そんな絶望的な状況にもかかわらず、ワトニーは残された物資を利用して命を繋ぎます。さらにハブの中で、今後不足する食料を得るためにジャガイモを栽培し始めます。

やがて彼が生きていることは、火星の様子を衛星から観察していた地球も知りました。彼らはワトニーを救うために、追加物資を火星に送り届けるミッションをスタートさせます。その間に、パスファインダーから部品を手に入れたワトニーは、地球との交信手段を見つけ出しました。

ミッションを知ったワトニーは、さらに生存のための努力を続けます。しかし、突貫工事で作られたロケットの打ち上げに失敗。さらに脱出準備の作業のミスで、地球との交信手段も失われてしまいました。

たった1人で火星に残されたワトニーの奮闘。彼を救うために、あらゆる努力を惜しまない地球スタッフ。そしてワトニーを残して火星から離れた他のクルーたちの思い。それが上手く融合していて、物語の緊張感を維持しながらサクサク読めました。

最初ワトニーが残している記録の文章が、軽すぎる気がしましたが、最後はこういうメンタルの持ち主だからこそ絶望的な状況に耐えられたのだと納得できました。(^^)
別窓 | 読書(その他) | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
ちょっとピンぼけ/ロバート・キャパ
2018-09-15 Sat 23:49
ちょっとピンぼけ (文春文庫)ロバート・キャパの「ちょっとピンぼけ」を読み終えました。

報道写真家としての仕事にあぶれていたキャパは、ある日ヨーロッパで起きている戦争の写真を撮る仕事を得ました。彼が以前に撮った写真が評価されて、この仕事に抜擢されたのです。アメリカから、まずはロンドンに向かうキャパでしたが、ハンガリー系のユダヤ人である彼は、ビザの問題に振り回されることになります。

それをクリアして、キャパはいよいよ戦場に繰り出します。・・・がしかし、写真を撮っているより兵士たちと賭け事をしていたり、お酒ばかり飲んでいるような・・・。(^^;

おまけにロンドンで知り合ったピンキィという女性が気になって、戦いが続く中でロンドンに帰ったり、逆に彼女を記者として戦場まで出向かせようとしたり。その裏では、戦争という殺伐とした出来事が進行中です。でもキャパの文章を読んでいると、どこか牧歌的な雰囲気が感じられます。

そして戦いが終わり、キャパは愛する女性の元へと向かいます。しかし、彼の恋ははかなく敗れます。この本全体の中で、キャパとピンキィの恋に関するところは、なんだか恋愛小説を読んでいるような気分になりました。
別窓 | 読書(その他) | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
詩のなぐさめ/池澤 夏樹
2018-08-25 Sat 00:02
詩のなぐさめ池澤夏樹さんの「詩のなぐさめ」を読み終えました。

読む順序が逆になってしまいましたが、「詩のきらめき」より前に発表された「詩のなぐさめ」を読みました。

「詩のきらめき」を読んだ時もそうでしたが、著者くらいの方でも詩はそっけなく、わかりにくいと思うことがあるのを知って、ちょっとだけ安心できました。(^^;

さらに驚いたのは、あの谷川俊太郎さんさえ「詩人のふりをしているが/私は詩人ではない」というフレーズのある詩を書かれていると知ったことです。詩は読む方だけでなく、書く方はさらにたいへんな思いをされていたんですね。

この本を通して詩の世界の入り口を垣間見ただけですが、この世界は本当に奥の深いものなんだなあと思いました。

今回読んでいて印象に残った詩は、髙野ムツオさんの以下の俳句でした。

 みちのくの今年の桜すべて供花
 犇(ひし)めきて花の声なり死者の声
 瓦礫より出でて青空の蠅となる

震災がらみで読まれたものらしいですが、これを読んだ時に絶望的な景色が目の前に広がった気がしました。

この本と「詩のきらめき」を読んだことで、自分の中で詩に対する敷居が少し下がった気がします。岩波文庫には、いろいろな詩集が刊行されていますので、その中から何か心にひっかかる詩集があったら読んでみたいと思いました。(^^)
別窓 | 池澤 夏樹 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
キトラ・ボックス/池澤 夏樹
2018-08-17 Fri 00:05
キトラ・ボックス池澤夏樹さんの「キトラ・ボックス」を読み終えました。この作品は、「アトミック・ボックス」の姉妹編的なお話でした。

物語の中心は、新疆ウイグル自治区から日本に留学している可敦(カトゥン)と、「アトミック・ボックス」で宮本美汐に協力した元恋人の考古学・藤波三次郎です。この2人が協力して、キトラ古墳の埋葬者にまつわる謎を追います。

しかし可敦は、何やら隠された使命を持っているようです。彼女の兄は、ウイグルの独立を目指すグループの中心人物らしいのです。その動きを封じるために、北京から諜報員が派遣されて可敦を狙います。

可敦の危機を知った藤波と、「アトミック・ボックス」で政府を相手に戦った美汐は、そんな可敦に協力して彼女の逃亡を手助けします。しかし、彼らの手をすり抜けるように、再び可敦に危機が迫ります。

危機を乗り越えながら、可敦と藤波は研究中の発掘品から、キトラ古墳の埋葬者を解き明かす鍵を得ます。そして最後に、可敦の隠された使命も明かされます。

また物語本編と平行して、藤波たちが調査している埋葬者の過去も描かれました。そのおかげで、読者は「キトラ・ボックス」の答えを早くから知ることが出来ます。

「アトミック・ボックス」とのつながりはありますが、単独でも楽しめる作品でした。でも内容的な満足度は、「アトミック・ボックス」の方が大きかったです。過去が直接描かれたことで、謎の答えが読者には早くからわかってしまったこと。また新疆ウイグル自治区の問題を取り上げながらも、問題への切り込みの鋭さが欠けている気がしました。
別窓 | 池澤 夏樹 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
巨神計画(下)/シルヴァン・ヌーヴェル
2018-08-13 Mon 13:47
巨神計画〈下〉 (創元SF文庫)シルヴァン・ヌーヴェルさんの「巨神計画(下)」を読み終えました。

偶発的に起きた事故で、ロボットの存在が世界中に知られ、開発の中心人物も事故に巻き込まれて亡くなりました。
各国の非難が集中する中、ロボットは人の手の届かない深海へと沈められることになりました。

しかし、その一方ですぐにロボットの引き上げ計画が始まり、密かに引き上げられたロボットは各国の共同出資による事業体に管理されています。

そしてロボットを作った、地球外知的生命の存在もおぼろげに見えてきます。彼らが地球に新たなロボットを差し向けそうなことも示唆されつつ、新たに計画の中心となった遺伝子女学者の暴走。そして彼女の手からの、ロボットのパイロットの奪還。

さまざまな伏線らしきものが各所に散りばめられて、物語はここからというところで唐突に終了。なんで!?と思ったら、この作品は1作で完結するのではなく、3部作として構想されていたのでした。

いちおう、物語のラストで驚くべき展開はありましたが、何も解決しないしロボットもろくに活躍しない展開には、かなりがっかりしました。続編の「巨神覚醒」が発売されていますが、盛大に肩すかしを食わされた気分なので、なんとなく続きを読む意欲が沸きません。(^^;
別窓 | 読書(その他) | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
カデナ/池澤 夏樹
2018-08-11 Sat 17:34
カデナ池澤夏樹さんの「カデナ」を読み終えました。

タイトルからもわかるように、沖縄の嘉手納基地が絡んだ物語です。とはいえ現代が舞台ではなく、ベトナム戦争末期の時代の物語です。物語の語り手となるのは、アメリカ人の父とフィリピン人の母を持つフリーダ=ジェイン、沖縄生まれでサイパンで暮らし終戦と共に帰国した嘉手苅朝栄、沖縄のロックバンドでドラマーをしているタカ。この3人の視点から、物語が語られていきます。

フリーダは准将つきの秘書官をしていていますが、ある日ベトナムにB-52で空爆を行っているパトリックという機長と知り合います。パトリックは精神的なストレスが原因で、性的に不能になっていますが、フリーダと付き合うことになりました。

それはフリーダの母から依頼された、米軍の空爆予定地を知らせるという任務の隠れ蓑として最適でしたが、やがてフリーダは1人の人間としてパトリックを愛するようになっていきます。パトリックは空爆することで、大勢の人を殺している罪の意識に悩まされていました。そんな人間らしさが、2人を結びつけたのです。

サイパンから帰国した朝栄は、しばらくは運送業で利益を上げました。やがて幸子という妻を得て、妻が商売として始めた食堂が軌道に乗り、今では半分以上は趣味で模型と無線のお店を経営しています。ある日、朝栄はサイパン時代に知り合った安南さんという男と再会しました。彼はベトナムの間諜をしていました。無線装置を持っていた朝栄は、そんな安南に協力するのでした。

フリーダと朝栄を結ぶのが、ドラマーのタカでした。フリーダの家の草花の世話をするついでに、タカはフリーダから受け取った情報を朝栄に渡しました。それを朝栄が、あらかじめ決められた暗号でベトナムへと通信していました。

さらにタカは、姉の関わっていた反戦活動から、沖縄の米軍から逃げ出す兵士の援助もすることになりました。素人ばかりの集まりでしたが、計画は何とか成功して彼らは脱走兵をスウェーデンに逃がすことに成功したのでした。しかし、こちらは本土の協力者に逮捕者が出たことで、なんとなく下火になりました。

そして米軍の北爆も下火になり、やがて爆撃そのものが中止されました。しかしその前に、離陸に失敗したB-52に搭乗していたパトリックが命を落としました。彼のB-52は、離陸直前に異常が発生しました。そのまま滑走路を進むと、機は核兵器が保管されている場所に激突する危険がありました。そこでパトリックは、無茶を承知で進路を変えていたのです。

そしてベトナム戦争は終わりました。情報漏洩に関わったフリーダ、朝栄、タカ、安南は奇跡的に誰も捕まることはありませんでした。その後フリーダは、タカと結婚しますが、子供を生まれるのを機会に母のいるフィリピンに帰国することにしました。しかし、タカはそれを受け入れず、2人は別れて生きることになりました。

物語全体は、本当に淡々としていました。4人の協力関係が生まれるまでだけで、物語の1/3くらいが経過します。
殺伐な描写はありませんが、フリーダの過去から日本軍がかってそこで何をしたのか、朝栄さんからはサイパンの日本人が経験したこと、タカと脱走した米兵マークとの不思議な信頼関係など、様々な思いが読後に残りました。
別窓 | 池澤 夏樹 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
アトミック・ボックス/池澤 夏樹
2018-08-06 Mon 18:35
アトミック・ボックス池澤夏樹さんの「アトミック・ボックス」を読み終えました。

社会学者の宮本美汐は、癌で亡くなった父からある重要な物を託されました。漁師になる以前に、父は「あさぼらけ」と呼ばれる計画に関わり、プログラマとして働いていたのです。しかし、その計画は突然アメリカからの要請で中止に追い込まれました。それ以来、父は工学とは無縁の漁師として生きてきたのです。

国の重要機密に関わった父は、公安の捜査官から常に行動を監視されていました。それは父が、プロジェクトを離れる時に"命を守る保険"としてデータの一部を持ち出していたからでした。それは国が密かに進めていた、国内での原爆作成計画でした。父から託されたデータを持って、美汐は警察から逃げ回ることになりました。

そんな彼女の力になってくれたのは、かって離島の老人の生活状況を調査した時に知り合った人々や、友人たちでした。そして漁師としての父を取材に訪れていた、大和タイムスの記者・竹西も事件の重大さを知って美汐に協力するのでした。

最終的に美汐は、プロジェクトの発案者である大物と対面することになりました。

逃げる美汐と、それを追う公安や警察、美汐の父・耕三の若き日と、さまざまな視点から物語が描かれます。美汐は警察に追われていますが、緊迫感の中にどこかほのぼのとした空気も感じられたのがよかったです。そして詳しい理由も知らされないまま、何年も耕三の監視を命じられた公安警察の行田のいらだちにも共感できるものがありました。
美汐の父・耕三の姿には、工学部出身の著者本人のイメージと重なりました。

この物語はフィクションですが、実際にあってもおかしくない現実感がありました。そして広島・長崎の被爆、3.11後の福島原発のメルトダウン。原子力が人間に制御できない危険性を無視して、進められる原発再稼働などなど、読後にさまざまなことを考えさせられました。
別窓 | 池澤 夏樹 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
詩のきらめき/池澤 夏樹
2018-07-30 Mon 21:06
詩のきらめき池澤夏樹さんの「詩のきらめき」を読み終えました。この本の前に、「詩のなぐさめ」という本も刊行されていましたが、知らずにこちらを先に読んでしまいました。(^^;

この本では、古今東西のさまざまな詩について、著者が岩波書店の「図書」という雑誌に発表した文章がまとめられていました。この本を読んだことで、さまざまな詩があることを知ることができました。

本を読むのは好きですが、その中でちょっと苦手だなあと思っていたのが詩集でした。時にハッとする言葉に出会うこともありましたが、なんだかよくわからない^^;という気持ちの方が大きかったからです。

この本を読んでも、やっぱりよくわからない気持ちは残りましたが、今までの自分だったら絶対に目にしなかったような詩を知ることが出来たのは収穫でした。そして、この本を読んだことで、わからないものはわからないままでいいのではないかとも思うようになりました。

この本で紹介されていた詩の中では、山之口貘さんの詩が何となく心に残りました。その中でも爆笑したのは、「博学と無学」という詩でした。それを引用すると・・・

 あれを読んだか
 これを読んだかと
 さんざん無学にされてしまった挙句
 ぼくはその人にいった
 しかしヴァレリーさんでも
 ぼくのなんぞ
 読んでない筈だ

・・・もう笑うしかない感じです。(^^;
別窓 | 池澤 夏樹 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
スイスのロビンソン(下)/ウィース
2018-07-30 Mon 20:40
スイスのロビンソン 下 (岩波文庫 赤 762-2)「スイスのロビンソン(下)」を読み終えました。

無人島でのロビンソン一家の生活が続いています。下巻では、大蛇と戦ったり、ダチョウを生け捕ったり、イノシシやライオンとも戦い、どれくらいの大きさの島にいるのかわかりませんが、どれだけ豊富に動物がいるんだろう^^;と思ったりしました。

下巻で一番驚いたのは、物語が第10章になったら、いきなり10年が経過していたことです。幼かった子供たちも、その頃には立派な青年になっていました。そして、唐突に新たな遭難者の存在が明らかになります。ミス・ジェニーというイギリス娘が、ロビンソン一家の近くで暮らしていたのです。

長男のフリッツは、父から一人前扱いされて自分の判断で行動することを許されていました。そしてフリッツは、カヤックを使ってミス・ジェニーのところまで出向き、彼女を彼らのところに迎え入れたのです。

さらにロビンソン一家は、近くに船が来ていることを知りました。それは難破船の捜索のために派遣された、イギリスの船でした。その船は、船体が傷ついていました。ロビンソン一家はイギリス船の手助けをすると共に、船に乗っていた病気の機械技師に自分たちの住まいを療養先として提供しました。

そしてロビンソン一家から、長男のフリッツとミス・ジェニー、末っ子のフランツがイギリス船に乗ってヨーロッパへと帰国することになりました。お父さんとお母さん、エルンストとジャック、そして機械技師の家族が島に残ることになりました。

この島を快適な場所へと育て上げてきたお父さんとお母さんには、もう文明社会で暮らしたいという気持ちがなくなっていたのです。そしてロビンソン一家に、新たな未来が開けたところで物語は終了しました。

最後の方は展開が駆け足で、ちょっとあっけにとられましたが^^;、全体としては家族の協力で無人島生活を乗り越えてゆくところが面白かったです。・・・もっとも、これ以上ないくらい必要な物が手に入るサバイバル生活でしたけど。(^^;
別窓 | 海外文学 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
刑事コロンボ 13の事件簿/ウィリアム・リンク
2018-07-29 Sun 20:48
刑事コロンボ 13の事件簿―黒衣のリハーサル (論創海外ミステリ)刑事コロンボ・シリーズを生み出した、ウィリアム・リンクが書いた「刑事コロンボ 13の事件簿」を読み終えました。

TVシリーズのコロンボは古き懐かしき作品ですが、この本で著者は現代を舞台にコロンボを活躍させています。コロンボが、携帯電話を持っていたのには驚きました。しかし、時代は現代になったものの、コロンボの捜査スタイルや語り口は昔と同じです。

タイトルにもあるように、この本にはコロンボの13の事件が収録されています。コロンボといえば、倒叙形式のミステリーの代表ですが、あえて著者は倒叙形式以外の方法でもコロンボを描いています。最初にそれを読んだ時は戸惑いましたが、形式が変わってもコロンボはやっぱりコロンボで安心しました。

どの作品も、登場人物の描写が上手いと思いました。コロンボと交わす言葉を通して、1人1人に存在感がありました。
収録された作品の中では、「黒衣のリハーサル」「暗殺者のレクイエム」「写真の告白」の3作が特に面白かったです。

その代わりに(?)、逮捕の決め手となる部分が弱い作品が多い気がしました。でも、コロンボと犯人とのやり取りが面白いので、個人的には謎解き的な部分はあまり気になりませんでしたが。

この本を読んだら、もう一度TV版の刑事コロンボを視聴してみたくなりました。(^^)
別窓 | 海外推理 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
Papa told me Cocohana ver.6 ~星へ続く階段~/榛野 なな恵
2018-07-26 Thu 00:01
Papa told me Cocohana Ver.6 ~星へ続く階段~ (マーガレットコミックス)榛野なな恵さんの「Papa told me Cocohana Ver.6 ~星へ続く階段~」を読み終えました。

5巻を購入した時も、読み終えるまでに時間がかかりましたが、今回はなんと発売日に購入したのに、読み終えるのに半年近くかかってしまいました。(^^; 前向きに、7巻が発売される前に読み終えられてよかったと思おう。(笑)

今回は10作のお話と、連載30周年記念として巻末に榛野なな恵さんへのインタビューが収録されていました。ヤングユーコミック時代から読んでいる作品ですが、もうそんなに時間が経っていたんですね。しみじみ。

30周年記念ということで(?)、2017年4月のココハナに掲載された時は、ヤングユー時代の第1巻の単行本と同じ衣装で、知世ちゃんとお父さんを描かれたりしている遊び心もいいなあと思いました。でも単行本では、せっかくのカラーページがモノクロだったのが残念でした。多少価格が上がっても、その回だけはカラーで収録して欲しかったなあ。

そうそう。30周年に合わせるように、電子書籍としてヤングユー時代のものから最新版まで刊行されたようです。それはそれでいいなあと思いますが、個人的にはこのシリーズはずっと紙の本で読み続けたいですね。

今回収録されていたお話の中では、「アンバースデイ パーティー」「ディア ダッド」「ロング クルージング」「オールド ブック」「シルバー ベル」の5作が特に心に残りました。
別窓 | マンガ | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
福家警部補の再訪/大倉 崇裕
2018-07-24 Tue 17:53
福家警部補の再訪 (創元クライム・クラブ)大倉崇裕さんの福家警部補シリーズ第2作、「福家警部補の再訪」を読み終えました。

今回は4つの事件を福家警部補が解決します。「マックス号事件」は、人気の客船で警備会社の社長が起こした事件です。
「失われた灯」は、大人気の脚本家が自作自演の誘拐事件を仕組み、不可能と思える状況で殺人を行います。「相棒」は、落ち目の漫才コンビの解消にまつわる事件。「プロジェクトブルー」は、フィギュアの世界を舞台にしたお話でした。

前作と同じく、1つ1つのお話はけっこう面白かったです。ただやはり、前作と同じく主人公の福家警部補に対する違和感が消えませんでした。1作目を読んだ時は、それがなぜか分かりませんでしたが、2作目まで読んで福家警部補に、あまりにも現実感がないからだと気づきました。

毎回のように警察バッヂをなくすのはご愛敬ですが、犯人や関係者から情報を集める時の話しぶりに、特に嘘くささを感じました。福家警部補が、女性でなければいけない必然性も感じられないのも残念ポイントですね。男性捜査員が気づかない、女性ゆえに視点をもっと活用してもいい気がしました。

このシリーズ、第5作まで刊行されているようですが、この続きはどうしようかなあ。(^^;
別窓 | 国内推理 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨| .
| HOME | NEXT