日々の記録

アニメと読書の感想をメインにしたブログです。 ☆ゆるゆるっと更新中です☆

アルセーヌ・ルパン全集の第14巻、「八点鐘」を読み終えました。

この作品は、「塔のてっぺんで」「水びん」「テレーズとジュルメーヌ」「秘密をあばく映画」「ジャン=ルイ事件」「斧をもつ奥方」「雪の上の足あと」「メルキュール骨董店」の、8つの連作短編からなる物語でした。

レニーヌ公爵と名乗ったルパンは、恋するオルタンス=ダニエルと共に、さまざまな謎を解き明かします。
「塔のてっぺんで」での最後に、レニーヌ公爵はオルタンスに3ヶ月後の八点鐘が鳴るまでに、オルタンスがなくした大切なものを取り返してみせると宣言しました。そしてそれまでに、最初の冒険を含めて8つの冒険を体験させると約束しました。

そしてレニーヌ公爵は、約束通りオルタンスが今まで知らなかった冒険をさせます。そして最後の「メルキュール骨董店」で、オルタンスがなくした大切なものが登場します。

これまでのシリーズにはない凝った設定が、なかなか面白かったです。どの事件もそれなりに面白いのですが、1つ1つの内容は、これまでに読んだ短編の方が面白かったと思いました。

8作の中では、深刻なのにどこか笑ってしまう設定の「ジャン=ルイ事件」、古典的な推理小説の味わいがある「雪の上の足あと」の2作が特に面白かったです。
アルセーヌ・ルパン全集の第13巻、「虎の牙(下)」を読み終えました。

上巻では嫉妬に怒り狂うルパンが見られましたが^^;、下巻では1つ謎が解き明かされたと思ったら、さらにそこから二転三転があって面白かったです。特に真犯人が直接手を下すのではなく、被害者を自ら追い込んでいたのが凄いですね。

そして真犯人が、物語の本当に最後の最後まで登場しないのもよかったです。ルパンは卓越した推理力で、全ての謎を見抜きますが、真犯人の異常なくらいの慎重さがルパンを出し抜くことがあるのが驚きでした。最終的にルパンが勝利したのも、運が良かったからでしたしね。(^^;

下巻では、外人部隊に参加していた時のルパンが何をやっていたかも明かされました。そこでもルパンは、いつの間にか敵の女性たちを虜にして、目的を達成していました。出会った女性に愛されずにはいられない。それがルパンの最大の武器かもしれませんね。

いつもは冒険小説の色合いが濃いルパン・シリーズですが、この「虎の牙」では冒険小説と推理小説の面白さが上手く融合されていると思いました。
アルセーヌ・ルパン全集の第12巻、「虎の牙(上)」を読み終えました。

この物語では、ルパンがドン・ルイス=ペレンナとして、物語の中心となって活躍します。

ドン・ルイスは警視総監から呼び出されて、亡くなった大富豪・コスモ=モーニントンの遺産相続人を探します。

ところが、ルパンの目の前で相続人のフォービル氏とその息子が殺されてしまいます。その犯人として、フォービルの妻に疑いがかかります。

事件の謎を追うルパンは、2人の男女が怪しいとにらみます。それを裏付けるかのように、ルパン自身も何度も命を狙われます。ところが、事件は思わぬ方向へと進み始めます。

まだ上巻なので、物語の大きな謎は何1つ解決していません。最初は調子よく事件を解明しているかに見えたルパンですが、真犯人に踊らされていたことが判明しました。他の物語でそうですが、ルパンは積極的に攻めている時は超人的な力を発揮しますが、受けに回ると意外なくらい脆さをみせますね。(^^;

それから驚いたのは、犯人らしい女性に恋したルパンが、彼女が別の男性を深く愛していると知って、激しく嫉妬する場面でした。ルパンも意外と、器が小さいなあと感じました。(^^; 元子分もルパンに絶対服従してないですし、これから大丈夫か心配になりました。(笑)
創元推理文庫のシリーズ刊行が第1期完結してしまい残念に思っていたら、思わぬところから邦訳が出ていました!

シリーズ9作目となる「ねじれたロウソク」ではなく、20作目となる「歌うナイチンゲールの秘密」です。この作品はナンシー・ドルーの一番古いシリーズ中の1作なので、これまでのナンシーの活躍を知っていれば違和感なく読めると思います。

デパートにお父さんのプレゼントを探しに来たナンシーは、そこで気分が悪くなった老婦人を助けました。老婦人を自宅に送り届けたナンシーは、彼女が祖国で起きた革命を逃れて亡命してきた元皇太后だと知りました。そして老婦人には、離ればなれになってしまった孫がいました。

ちょっとした偶然から、ナンシーは老婦人の孫を見つけました。しかし、その青年は下品で王子らしい気品が感じられません。おまけに青年は、老婦人の持つ貴重な宝物を狙っているようです。

そんな中、ナンシーは老婦人の持つインスターエッグのナイチンゲールが、何か歌を唄っていることに気づきました。キャサリンという有望な服飾デザイナーと知り合ったナンシーは、そのナイチンゲールが彼女の国の言葉で、手がかりは宝石箱にあることを伝えていると知りました。

メインとなる宝石箱の秘密の他に、ナンシーの住む町では窃盗事件が多発していました。ナンシーは何度も、その犯人を追いかけますが、その度に犯人とよく似た別人と遭遇してしまいます。その被害者の中には、ナンシーのお父さんもいました。お父さんは、お金と一緒に大切な書類を失って困っていました。

翻訳された方が異なるせいか、創元推理文庫版とは微妙にニュアンスが違うところもありましたが、探偵として活躍する一方で、友人たちとのピクニック、ボーイフレンドとのデート、キャサリンに協力してファッションショーへの参加と、いつものようにナンシーが大活躍しています。

もう続きの邦訳は読めないと諦めていたので、思わぬ形で未読の邦訳と出会うことができてラッキーでした!
今年最初に読み終えたのは、アルセーヌ・ルパン全集の第11巻、「三十棺桶島」でした。

ヒロイン・ベロニックは、若い頃にボルスキーという男を愛してしまいました。しかしベロニックの父は2人の関係を認めず、怒ったボルスキーはベロニックを誘拐して強引に結婚してしまいました。

2人の間には息子が生まれましたが、今度はベロニックの父が、息子を誘拐して逃亡したのです。ところが父と息子を乗せたヨットは、荒波にのまれて沈没してしまいました。2人の死を知ったベロニックは修道院に入りました。

それから14年が過ぎました。修道院生活に慣れなかったベロニックは、そこを出て今は洋服店を営んでいます。ある日、映画を映画を見に行ったベロニックは、映画に登場したあばら家に、彼女が娘時代に使っていたサインが書かれていることに気づきました。

それが気になったベロニックは探偵を雇い、彼女を掠ったボルスキーがすでに死亡していること、そして映画が撮影された場所がル・ファウエ村の近くにあることを知りました。あばら家を探し出したベロニックは、そので1人の老人が殺害されているのを見つけました。しかし彼女が他の人たちとそこを訪れてみると、死体はどこかに消えていたのです。

この事件をきっかけに、ベロニックは不思議な手がかりをたどって、三十棺桶島と呼ばれるサレック島に向かうことになります。そこで彼女は様々な事件に遭遇して、危機にさらされることになります。もちろん最後には、ルパンが現れて彼女は救われるのですが、周囲から隔絶された島で起きる怪奇的な事件はかなり読み応えがありました。

この作品には、前作「金三角」に登場したパトリス=ベルバル大尉も、ルパンの協力者として登場します。ここでのパトリス大尉は、前作のような足手まといではありませんでしたが^^;、すっかりルパンの手下みたいな雰囲気で、これでいいのか!?と心配になりました。
アルセーヌ・ルパン全集の第10巻、「金三角」を読み終えました。

傷痍軍人のパトリス=ベルバル大尉は、負傷したときに世話になった篤志看護婦のコラリーが、何者かに狙われていることを知りました。

彼女を救うために、パトリスは同じ傷痍軍人仲間を招集して、コラリーの危機を救います。パトリスとコラリーは不思議な縁でつながっていました。2つに割れた紫水晶を、それぞれが所持していたのです。

やがてパトリスは、コラリーの夫が殺された事件を通して、金三角という謎のキーワードと出会います。その謎解きに、やがてルパンも関わってきます。

前巻に続いて、この巻も第一次世界大戦中の物語ですが、戦意高揚的な内容は少なく、謎解きがメインになっています。またパトリスを通して、傷痍軍人に対する差別を取り除こうという意志も感じられます。

ところがパトリス大尉は、彼に忠実に尽くすセネガル人の部下ヤ=ボンに対して、彼を侮辱するような発言を連発します。これが気になって、この物語の主人公のパトリスに、全く共感できなくなってしまいました。

その上、ルパンが登場したあたりから、パトリス大尉が間抜けで足手まといな人物になって、さらに感情移入できなくなってしまいました。(^^; ルパンが事件に関わったのも、ヤ=ボンのおかげでしたし。

というわけで、今ひとつこの作品は楽しいものではありませんでした。タイトルになっている、金三角の謎もあっと驚くようなものではありませんでしたし。唯一の見所は、終盤のルパンの鮮やかな大逆転くらいだったかも。(^^;
アルセーヌ・ルパン全集の第9巻、「オルヌカン城の謎」を読み終えました。

エリザベートと結婚したばかりのポール=デルローズは、彼女の父が所有するオルヌカン城で暮らすため城にやってきました。ポールは幼い頃に父と旅する途中で、フランス領内でドイツ皇帝と出会いました。その直後に、皇帝に同伴していた謎の女性の手で父は殺害されました。彼も召使いにナイフで刺されましたが、なんとか一命を取り留めました。

ポール少年から事情を聞いた警察は捜査に乗り出しましたが、手がかりは何も発見できないばかりか、その日にドイツ皇帝は別の場所にいたという情報まで得ます。結局、そのまま事件は迷宮入りしてしまいました。

しかしポールは、なんとしても真相を突き止めたいと思っていました。そんな彼はオルヌカン城に到着した日に、思わぬ形で事件の手がかりを得ました。

エリザベートの母はすでに亡くなっていましたが、城に残されていた母の肖像画の女性こそが、幼い日にポールの父を殺した犯人の姿だったのです! しかしエリザベートは、母はそんな人ではないと反発します。

そしてポールは、エリザベートと気まずい雰囲気になってしまいます。その上、その翌日からフランスとドイツの戦争が始まり、ポールは戦場へと向かい、エリザベートと離ればなれになってしまいます。やがてポールは、オルヌカン城に大きな秘密が隠されていることに気づくのでした。

ポールとエリザベートの運命、城に隠された謎と、事件の背後で暗躍する謎の敵と、見所がたくさんあって引き込まれる作品でした。でもルパン・シリーズの中では番外編にあたる作品で、ルパンがほとんど登場しないのが残念でした。(^^;

また、フランスとドイツの戦争中に書かれた作品のせいか、フランスを称えドイツを貶める文章があったり、戦意を鼓舞する文章が多いのも残念ポイントでした。

物語本編では、謎が提示される部分は面白かったですが、後半の謎解きや展開が雑な感じだったのも残念でした。
アルセーヌ・ルパン全集の第8巻、「ルパンの告白」を読み終えました。

前巻までは長編作品が続きましたが、この巻は短編集でした。「太陽のたわむれ」「結婚指輪」「影の合図」「地獄の罠」「赤い絹のスカーフ」「うろつく死神」「白鳥の首のエディス」「麦わらのストロー」「ルパンの結婚」の9作が収録されています。

9作の中では、「赤い絹のスカーフ」が一番面白かったです。偶然手に入れた材料から、何が起きたかを的確に見抜き、自分の目的のためにガニマール警部さえ利用してみせる。やはりルパンは、こういう格好良さが魅力だと思います。

その他では、かって愛した夫人に尽くす「結婚指輪」、「ルパンの冒険」のソニアが再登場する「白鳥の首のエディス」、いきなりルパンとアンジェリク=ド=サルゾー=バンドーム公女との結婚が発表される「ルパンの結婚」が面白かったです。

他の話でもそうですが、ルパンは女性に尽くす一方で、多くの女性から愛されてますよね。大胆不敵で冒険好き、上品さと細やかな心を持ち、そして多分イケメン^^;なルパンが、女性から愛されるのは当然なのかもしれませんけど。(^^;
アルセーヌ・ルパン全集の第7巻、「水晶の栓」を読み終えました。

この事件は「奇岩城」と「813」の間に起きたらしいです。事件はルパンが、手下のジルベールとボーシュレーが計画した、代議士のドーブレックの屋敷からの窃盗現場から始まります。なぜか手下2人は、水晶の栓を手に入れることにこだわります。それが原因で、2人は警察に逮捕されてしまいました。

ルパンは捕まった2人の手下を救おうとしますが、彼らを救い出すのは容易なことではありません。その上、水晶の栓に隠された謎をめぐってドーブレック、警察、そして謎の敵との対決でも、簡単に相手を出し抜くことができません。その間にも、手下2人の死刑の期日が迫ります。果たしてルパンは謎を解き明かして、手下を救うことができるのか。この2つが、絡み合った面白さのある作品でした。

「813」でもそうでしたが、この作品でもルパンは何度も敵に出し抜かれます。悪徳代議士ドーブレックにしてやられるのはともかく、子供にまで出し抜かれるのはうかつすぎる気がしました。(^^;

そして今回も、ルパンは事件を通してクラリス=メルジ夫人と出会います。例によって、ルパンはこの女性に尽くすことになりますが、結末はやはり苦いものでした。それが「続813」で明かされた出来事へつながる行動へと、ルパンを動かすことになったようです。
アルセーヌ・ルパン全集の第6巻、「続813」を読み終えました。

この巻では、前巻で明らかにならなかった謎が判明します。そして物語の鍵となるのが、ドイツの秘密文書だということがわかります。

一応、この事件にもショルメス(ホームズ)が関わっていますが、事件の大きな謎の解決に挑んだらしいことが示されるだけで、作中で再びルパンと対決することもなく、拍子抜けな感じでした。「奇岩城」での扱いも酷かったけど、さらに扱いが酷くなってますね。(^^;

この巻の感想を書くのは、とても難しいです。何について触れても、前巻からのネタバレを踏んでしまいそうです。ルパンと謎の強敵との戦いも面白いですが、それ以上にルパンのはったりの凄さが感じられる内容だったとだけ書いておきます。

そして物語の結末は、「奇岩城」と同じく苦いものでした。とはいえ、勝手に他人を自分の意のままにしようとしたルパンの自業自得な気がしなくも・・・。(^^;
アルセーヌ・ルパン全集の第5巻、「813」を読み終えました。

パリのパレス・ホテルに滞在していたダイヤモンド王・ケッセルバッハが、何者かに殺害されました。その死の直前、ケッセルバッハのところにはルパンが訪れていました。ルパンが初めての殺人を犯したのかと、世間は騒然となります。

捜査の指揮を執るのは、国家警察部長のルノルマンです。彼が捜査に入ってからも、ケッセルバッハの秘書のチャップマン、ホテルの清掃をしたボーイが次々と殺されました。現場には、813という数字の入ったレッテルが残されていました。
L.Mという頭文字の入ったシガレット・ケースもその後の捜査で発見されましたが、犯人によって奪い返されてしまいました。

今回ルパンは、セルニール公爵というロシア人になりすましています。奇岩城の事件から4年が経過していて、ルパンはなぜか両親を失ったジュヌビエーブという少女を、乳母に預けて育てさせていました。そしてジュヌビエーブの相手として、事件の重要人物になりすまさせたジェラール=ボープレという青年と知り合わせます。

これまでのルパン・シリーズは、ルパンと彼を追う探偵や警察という形式でしたが、この作品ではルパンに勝るとも劣らない組織との対立も物語の大きな要素になっています。ルパンと敵組織、そして警察の3つがそれぞれの思惑で動いていて緊迫感のある内容でした。物語は大きな仕掛けが明かされたところで、次巻の「続813」へと続いています。

最後に明かされる大きな謎は、途中でなんとなく答えが見えていて、やっぱりという感じでした。(^^;
物語の大筋はとても面白いのですが、その途中でルパンがジェラール=ボープレを追い込んで、重要人物になりすまさせる場面は、ルパンの冷酷な一面が描かれていて、あまり気分のよい展開ではありませんでした。
アルセーヌ・ルパン全集の第4巻、「奇岩城」を読み終えました。

アンブリュメジーのジェーブル伯爵の屋敷に、夜中に何者かが侵入しました。伯爵の娘のシュザンヌと2年前に両親を亡くして引き取られた姪のレーモンドは、その気配に気づいて目を覚ましました。

レーモンドは銃を手にすると、逃げ出してゆく賊の1人を撃ちました。その弾は賊に当たり重傷を負わせたものの、不思議なことに賊は屋敷の敷地内で姿を消してしまいました。

レーモンドに撃たれたのは、ルパンだったらしいことが判明します。警察は徹底的に周辺を調査しますが、どうしてもルパンを見つけることができません。そこに現れたのが、イジドール=ボートルレという高校生でした。彼の推理力は、学内でも評判になるほどのものでした。

そんな高校生探偵ボートルレが、ルパンの謎を追うことになります。そして彼は、残された謎の文書からエギーユ・クルーズ(空洞の針)というキーワードにたどり着きました。そしてボートルレがその謎を解き明かしたかと思いきや、そこからまたさらに二転三転する展開になります。

この作品には、再びホームズが登場しますが、なんと事件の調査に取りかかる前に、ルパンに捕らわれてしまいます。おまけに、物語のクライマックスではルパンの前に立ちはだかったものの、ホームズの行動が悲劇的な結末を招くことになりました。

物語のメインは、ルパンとボートルレの対決ですが、ホームズはシリーズに登場するたびに酷い役回りになっていて^^;、ホームズも好きなファンとしては、このあたりはちょっと納得いかない感じです。(笑)

とはいえ、シリーズ中の傑作の1つ言われるだけあって、物語はとても面白かったです。特に終盤、エギーユ・クルーズに秘められた歴史が明らかになってくるところが、スケールが大きくてとても面白かったです。
アルセーヌ・ルパン全集の第3巻、「ルパンの冒険」を読み終えました。

百万長者のグルネイ=マルタンは、ルパンからの予告状に怯えていました。彼が集めた数多くのコレクションと共に、その中でも特に価値のあるランバール王女の宝冠が狙われていると知ったからです。グルネイ=マルタンは、娘のジュルメーヌの婚約者であるシャルムラース公爵の提案で、宝物があるパリの屋敷へと向かうことになります。

今回、ルパンの捜索にあたるのはゲルシャール警視正です。どうしてガニマール警部じゃないのかと思ったら、この作品はもともとお芝居として作られて、そのお芝居を見たガリマールという人物が、ルパンにしてやられる警部の名前が自分と似ていることを抗議したからでした。

お芝居として元々作られた作品のせいか、1つの場面で登場人物の会話の応酬が長いのが少し気になりました。そして物語の結末では、ルパンがある決断をしているのも、その後の彼の活躍を考えると不思議な気がしました。

次はいよいよ、有名な「奇岩城」です。昔読んだ覚えはありますが、内容は完全に忘れているので^^;、新鮮な気持ちで物語を楽しめそうです。
アルセーヌ・ルパン全集の第2巻、「ルパン対ホームズ」を読み終えました。

前巻では互いに顔見せ程度だったルパンとホームズですが、この巻では2つの事件で激突します。収録されているのは、「金髪の美女」と「ユダヤのランプ」の2作です。

あとがきを読んで知りましたが、日本ではホームズと翻訳されていますが、コナン・ドイルからクレームがあったため名前の文字を入れ替えて、エルロック・ショルメスと原書では表記されているんですね。

違う著者が書いたのだから当たり前ですが、この物語に登場するホームズは何となくホームズらしくないんですよね。さらに言えば、ワトソンは「これ誰!?」という感じがしました。(^^;

また、2つの物語ではルパンとホームズの引き分けといった形で終わっていますが、物語の多くでホームズがルパンに翻弄されすぎている気がします。原書がホームズ表記でないのなら、翻訳もショルメス表記にして欲しかったなあ。

とはいえ「金髪の美女」も「ユダヤのランプ」も、どちらも面白かったです。特に「金髪の美女」では、謎の面白さに加えて、仕掛けの面白さがあって楽しめました。ルパンに協力する、謎の金髪美女という設定も魅力的でした。

「ユダヤのランプ」は、物語のボリュームは「金髪の美女」の半分くらいですが、最終的な真実が明らかになった後の切なさが心に残る作品でした。
モーリス・ルブランの伝記を読んで、あらためてルパン・シリーズを読み返したくなりました。今回読んだのは、偕成社版です。児童書なので内容が簡略化されているのかと思ったら、完訳版でした!(^^)

第1巻には、「ルパン逮捕される」「獄中のアルセーヌ・ルパン」「ルパンの脱獄」「ふしぎな旅行者」「女王の首飾り」「ハートの7」「アンベール夫人の金庫」「黒真珠」「おそかりしシャーロック・ホームズ」の9作の短編が収録されています。

読み始めた最初は、漢字にふりがなが多いのが気になりましたが^^;、途中から内容の面白さに引き込まれました。1作ごとに異なるルパンの活躍が描かれていますが、最初の「ルパン逮捕される」と最後の「おそかりしシャーロック・ホームズ」に共通の登場人物がいて、物語が1つの流れとしてまとまる構成がいいなあと思いました。

偕成社のシリーズは、全25巻+別巻5冊の計30冊ありますので、この先を読み進めるのが楽しみです。
ピーター・トレメインさんの修道女フィデルマ・シリーズ第4作「蛇、もっとも禍し(下)」を読み終えました。

上巻では、2つの殺人事件と消えたエイダルフの行方という大きな問題に挑むことになったフィデルマでしたが、その全容ははっきりしないままでした。下巻では、それが次々と明らかになっていきます。その背後には、アイルランドの古の宗教にまつわること、この時代のアイルランドの勢力争い、兄妹の反目と元夫妻の反目など、さまざまな要素が入り組んでいました。

中盤以降の展開が、少し急すぎる気はしましたが、ラストの裁判官の前でのフィデルマの弁論は読み応えがあって面白かったです。修道女ブローナッハとベラッハの関係など、読んでいる途中で何となくそうかな!?と思っていた部分もありましたが、殺人事件の犯人が誰なのかは最後までわからなかったので、ドキドキしながら読みました。

最後の解説は、田中芳樹さんでした。その中で田中さんが、「ヒロインのフィデルマがあまり好きじゃない」と書かれているのに、ちょっと共感しつつも^^;、そう思ったのが私だけじゃなくてよかったと思いました。
今回はフィデルマ以上に高慢なドレイガン院長という人物がいたおかげで、いつもほどフィデルマの高慢さが目立たなかったのかも。(^^;
ピーター・トレメインさんの修道女フィデルマ・シリーズ第4作「蛇、もっとも禍し(上)」を読み終えました。

しばらくこのシリーズを読んでなかったなあと思ったら、第3作を読んだのはなんと3年前でした。(^^;

今回のお話では、フィデルマが"三つの泉の鮭"女子修道院で首なし女性の死体が発見された事件の調査に赴きます。
ところが、その途中でフィデルマの乗った船は、無人で漂っている船と遭遇しました。船の様子を調べたフィデルマは、そこで自分がエイダルフに渡した書籍を発見します。ローマにいるはずのエイダルフが持っているはずの物が、なぜここにあるのか。フィデルマは不審に思い、エイダルフの身に何か起きたのかと案じます。

しかし船には、これといった手がかりもなく、結局フィデルマは当初の目的地である修道院へと向かいます。現地についてみると、修道院の院長とその土地の有力者が対立していました。事件の調査を進める中で、対立する2人が兄妹だと知ります。2人は過去のしがらみが原因で、対立していたのです。

そして事件の調査が進まない中、新たなる殺人事件がおきました。修道女の1人が、何者かに最初の死体と同じように殺されていたのです。その犯人を、院長は身体に障害をもつベラッハ修道女だと決めつけ、ほかの修道女たちを煽って彼女を抹殺しようとします。しかし、その目論見はフィデルマの活躍で阻止されました。

というわけで、上巻ではさまざまな事件や状況が明らかになりますが、その真相はまだ全くわかりません。2つの殺人事件と、エイダルフに託した本をフィデルマが見つけたことの間には、何か関連があるのでしょうか。下巻で、どんな真相が明らかになるのか楽しみです。(^^)
口八丁のジョニーと力持ちのサムが活躍するユーモア・ミステリーです。

本の訪問販売をしているジョニーとサムは、とあるホテルに宿泊していましたが、宿泊費を滞納していました。ある日、ジョニーが宿に帰ると、鍵穴にフランス鍵が入れられていて、部屋に入ることが出来ません。支配人は彼が宿泊費を払わなければ、フランス鍵を外してくれそうにありません。

運良く相棒のサムが、間違って渡された隣の部屋の鍵を持っていました。そこでジョニーは、窓伝いに自分たちの部屋に入り、部屋に置いてあった物を持ち出そうとします。ところが、完全な密室になっていたはずの彼らの部屋で、見知らぬ男が殺されていました。男は年代物の金貨を握りしめていました。

男の手から金貨を取ったジョニーは、それが1822年に作られた貴重な金貨だと気づきました。殺されていた男の正体を探り、金貨の謎を調べることで、ジョニーとサムは事件の真相に近づいていきます。

お話的には、ミステリーというよりドタバタ・コメディといった感じでした。
お金もなく警察に追われる身となっても、あえて犯人が利用しないであろう高級ホテルに宿泊するジョニーの機転と口八丁には笑わせられながらも、どこか生き抜くたくましさを感じました。
刑事コロンボ 13の事件簿―黒衣のリハーサル (論創海外ミステリ)刑事コロンボ・シリーズを生み出した、ウィリアム・リンクが書いた「刑事コロンボ 13の事件簿」を読み終えました。

TVシリーズのコロンボは古き懐かしき作品ですが、この本で著者は現代を舞台にコロンボを活躍させています。コロンボが、携帯電話を持っていたのには驚きました。しかし、時代は現代になったものの、コロンボの捜査スタイルや語り口は昔と同じです。

タイトルにもあるように、この本にはコロンボの13の事件が収録されています。コロンボといえば、倒叙形式のミステリーの代表ですが、あえて著者は倒叙形式以外の方法でもコロンボを描いています。最初にそれを読んだ時は戸惑いましたが、形式が変わってもコロンボはやっぱりコロンボで安心しました。

どの作品も、登場人物の描写が上手いと思いました。コロンボと交わす言葉を通して、1人1人に存在感がありました。
収録された作品の中では、「黒衣のリハーサル」「暗殺者のレクイエム」「写真の告白」の3作が特に面白かったです。

その代わりに(?)、逮捕の決め手となる部分が弱い作品が多い気がしました。でも、コロンボと犯人とのやり取りが面白いので、個人的には謎解き的な部分はあまり気になりませんでしたが。

この本を読んだら、もう一度TV版の刑事コロンボを視聴してみたくなりました。(^^)
天外消失 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1819)ビブリオバトル部シリーズに登場したアンソロジー集、「天外消失」を読み終えました。

この本には14編の短編が収録されています。
エドガー・ライス・バロウズの「ジャングル探偵ターザン」、ブレッド・ハリデイの「死刑前夜」、ジョルジュ・シムノンの「殺し屋」、エリック・アンブラーの「エメラルド色の空」、フレドリック・ブラウンの「後ろを見るな」、クレイトン・ロースンの「天外消失」、アーサー・ウィリアムズの「この手で人を殺してから」、ジョン・D・マクドナルドの「懐郷病のビュイック」、イーヴリン・ウォーの「ラヴデイ氏の短い休暇」、C・B・ギルフォードの「探偵作家は天国に行ける」、フランク・R・ストックトンの「女か虎か」、アル・ジェイムズの「白いカーペットの上のごほうび」、ポール・アンダースンの「火星のダイヤモンド」、スティーヴン・バーの「最後で最高の密室」です。

今となっては古さを感じさせる作品が多いですが、「後ろを見るな」と「探偵作家は天国に行ける」、「女か虎か」の3作が面白かったです。この中では「女か虎か」は、以前に北村薫さんが紹介されていたので読んだことがありました。
「後ろを見るな」のオチは、古典的ではあるのですが、古典的だからこその面白さがあると思いました。「探偵作家は…」は読んでいる途中で、「天国から来たチャンピオン」という映画を思い出しました。

番外として「白いカーペットの上のごほうび」は、ブラックなコメディみたいな作品で笑えました。
悪魔の見習い修道士―修道士カドフェルシリーズ〈8〉 (光文社文庫)修道士カドフェル・シリーズ第8作、「悪魔の見習い修道士」を読み終えました。

近在の荘園主の次男メリエットが、修道士になることを望んでやって来ました。彼はなぜか、一刻も早く正式な修道士になろうと焦っています。そこには何らかの事情があるとカドフェルは考えますが、メリエットは心を開こうとはしません。

そんなある日、ちょっとした事故でケガをした修道士を見たメリエットは、異常なほどうろたえました。さらに、その夜には何かにうなされたメリエットは、恐ろしいうなり声をあげました。そんなメリエットは、いつしか仲間内から"悪魔の見習い修道士"と呼ばれるようになったのでした。

彼が何らかの事件に巻き込まれていると気づいたカドフェルは、彼の家へと訪れて真相を知ろうとします。そしてカドフェルは、メリエットには周りが誇りに思うような兄がいること。その兄が近くの荘園の美しい娘と、近々結婚式を挙げることを知りました。カドフェルは、メリエットが実らぬ恋の痛みから逃れるために修道士になろうとしたのかと考えます。しかし、それではメリエットの異常なうなり声の説明がつきません。

そんな中、ヘンリー司教の使者としてメリエットの実家を訪れた男性が、その途中で行方不明になっていることがわかりました。ヒューは、さっそく使者の行方を捜しますが、なかなか使者を見つけ出すことができません。やがて使者は、思わぬ場所から、思わぬ形で発見されました。

なぜ、そんなところで使者が殺されたのか。そして使者の死とメリエットの間にどんな関わりがあったのか、カドフェルはそれを解き明かそうとします。

今回はちょっと珍しく、お話の中盤くらいまで殺された使者が発見されません。その分、メリエットの抱える複雑な状況と心情の謎が物語を引っ張ってゆく感じでした。最終的な結末はあっけない気がしましたが、全てが収まるべきところにおさまった感じでした。あ、でもメリエットがお世話になった、施療院の修道士マークとのその後がちょっと気になりますね。
聖域の雀―修道士カドフェルシリーズ〈7〉 (光文社文庫)修道士カドフェル・シリーズ第7作、「聖域の雀」を読み終えました。

夜半の祈りの途中、とある若者が町の人々に追われて、教会へと逃げ込んできました。そのリリウィンという若者は、町から町へと渡り歩いている芸人でした。この町でウォルター・オーリファーバーの息子ダニエルの結婚式が行われることを知ったリリウィンは、そこで余興を披露するために結婚披露宴へと呼ばれたのです。

ところが、ウォルターが嫁の持参した貴重品を金箱に納めていた時、何者かがウォルターを襲って貴重品を奪い取ったのです。その犯人として疑われたのが、芸人のリリウィンだったのでした。披露宴でリリウィンはさまざまな芸を披露しました。しかしケチで有名なオーリファーバー家は、リリウィンに約束しただけの金を支払わなかったばかりか、ウォルターの母のジュリアナは、披露宴の途中で水差しが割れたことをリリウィンのせいだと決めつけて、彼を杖で打ちのめしたのです。

そしてリリウィンがオーリファーバー家から去った後、事件は起きました。ウォルターが何者かに襲われたのです。誰かが犯人は、先ほど追い出した芸人に違いないと言い出して、酔った客たちが町中を探してリリウィンを見つけ出しました。何も知らずに襲われたリリウィンは、自分の身を守るために教会へと逃げ込んだのでした。

ウォルターの息子・ダニエルを中心に、町の人々は今にもリリウィンを虐殺しかねない勢いでした。しかしこの時代、罪を犯した者でも、教会に逃げ込めば40日の間は保護を約束されていました。修道院長のラドルファスは、リリウィンが既に教会の保護下にあることを人々に告げました。そして罪を裁くなら、正規の手続き通り、州の執行官に任せるべきだと人々を叱ったのでした。

こうして人々は、不承不承ながら町へと引き上げていったのでした。リリウィンの世話を任せられたカドフェルは、彼にその夜の出来事を尋ねました。そして彼が罪を犯していないと信じたカドフェルは、いつものように事件の真相を知るために動き出すのでした。

前作の「氷のなかの処女」とは異なり、今回の舞台はシュルーズベリ、それも教会とオーリファーバー家をメインに展開しました。カドフェルの調査が進むにつれて、オーリファーバー家が抱えるドロドロの人間関係が明らかになっていきます。
昔も今も、家族や親族にまつわるドロドロは同じなんだなあと思いつつ、読んでいてあまり気分がいいものではありませんでした。

そんな中で、唯一の救いはリリウィンとオーリファーバー家の召使いラニルトの恋物語でしたが、2人の関係の進展が性急すぎたこともあって、こちらもこれまでのシリーズと比べると物足りない感じがしました。
氷のなかの処女―修道士カドフェルシリーズ〈6〉 (光文社文庫)修道士カドフェル・シリーズ第6作、「氷のなかの処女」を読み終えました。

以前からたびたび物語の中で語られてきた、スティーブン王と女帝モードの争い。その争いで、ウスターが攻撃されたことが、今回の物語の始まりとなりました。逃げ惑う人々は、カドフェルのいるシュルーズベリにも逃れてきていました。
そんな中、ウスターの貴族の姉弟が失踪してしまったという情報が伝わってきました。姉弟の保護者である叔父は、2人の行方を捜しています。しかし、彼はスティーブン王ではなく女帝モードを支持していたため、シュルーズベリに入ることは許されませんでした。その代わりに、州長官は2人の捜索の準備を進めていました。

そんな時、ブロムフィールドの修道院からカドフェルに助力の依頼が舞い込みました。何者かに襲われて行き倒れていた修道士を救うために、カドフェルの知識が必要とされたのです。その求めに応じて、カドフェルはブロムフィールドへと赴くことになりました。その途中で、カドフェルは行方不明になっていた姉弟の弟の方、イーヴと出会うことになるのでした。それだけでなく、カドフェルは凍り付いた小川の中に若い女性の死体を発見します。

さらにブロムフィールドのあるラドロー周辺では、近隣の農園を襲撃する無法者たちが現れていました。カドフェルは傷ついたエルヤス修道士にできる限りの治療を施すと、州執行副長官である友人ヒュー・ベリンガーと共に、行方不明の姉の探索、無法者たちの探索、そして氷の中の女性を殺した犯人を捜すことになるのでした。

今回は、カドフェル・シリーズとしては珍しく、推理よりもアクションに重点が置かれた内容でした。でも、勝ち気な貴族の娘アーミーナ、何か大きな悩みを抱えているらしいエルヤス修道士、オリーブ色の肌をした謎の若者など、魅力的な登場人物がいっぱいで、物語としてとても面白かったです。

そしてカドフェルは、今回の出来事と関わったことで、彼自身にまつわるある出会いを経験することになりました。神様と著者の、粋な計らいがたまりません。(^^)
幼き子らよ、我がもとへ〈下〉 (創元推理文庫)今年最初に読み終えたのは、修道女フィデルマ・シリーズ第3作「幼き子らよ、我がもとへ(下)」でした。本当は昨年中に読破したかったのですが、読んでいる途中で年を越してしまいました。(^^;

尊者ダカーン殺害の真相を調査するフィデルマ。しかし、事件は単純な殺人事件ではなく、その背後には政治的な思惑が複雑に絡み合っていました。下巻で驚いたのは、これまでのフィデルマ・シリーズと比べて圧倒的に多数の死者が出ることでした。その中には、まだ幼い子供たちの姿もありました。(;_;)

この巻の最大の見せ場は、ダカーンの死の真相とその背後の関係を大王が招集した法廷で暴いていく場面でした。
これまでの作品でのフィデルマは、弁護士の資格を持ちながらも、探偵的な活躍をしていました。しかし、今回の法廷シーンでは、フィデルマの弁護士としての実力が示されることになりました。

多くの死者が出たり、政治的な駆け引き、王位継承者をめぐる謎など、いろいろと盛りだくさんで、これまでのフィデルマ・シリーズでは、一番読み応えがありました。そして、これまで完璧超人として描かれていたフィデルマが、感情をあらわにして涙を流す場面があったのも印象的でした。この場面のおかげで、今まで近寄りがたい雰囲気だったフィデルマが、ようやく身近に感じられました。
幼き子らよ、我がもとへ〈上〉 (創元推理文庫)ピーター・トレメインの修道女フィデルマ・シリーズ第3作、「幼き子らよ、我がもとへ(上)」を読み終えました。

第1作、第2作では、物語の舞台はアイルランドの外でした。第3作となる本作で、フィデルマは故国であるモラン王国へと帰ってきました。そんなフィデルマは、兄であり王国の次期後継予定者であるコルグーに呼ばれ、キャシェル城へ訪れました。そこでフィデルマは、モラン王国が今大きな問題を抱えていることを知ったのでした。

その発端となったのは、モラン王国の隣国ラーハン王国でした。かってモランは、ラーハンからオスリガ小王国を得ました。しかし、その後もラーハンはオスリガに執着して、オスリガを取り返そうと画策しています。そんな中、ラーハンの偉大な尊者ダカーンが、研究のためモランの修道院を訪れました。ところが、ダカーンは修道院で何者かに殺害されてしまったのです。その死の代償として、ラーハンはオスリガの返還を要求していたのでした。

事情を知ったフィデルマは、コルグーから依頼されて事件が起きた修道院へと向かいます。しかし、その途中でフィデルマは、修道院の近隣の小村で虐殺と破壊が行われていることを知ったのでした。その村から、強い感染力を持った黄色疫病の死者が出たことで、住民は殺されて家々は焼き払われたのでした。フィデルマは、その生き残りである修道女と子供たちを保護したのでした。

修道院に到着したフィデルマは、早速事件の調査に取りかかります。しかし、事件発生から日が経っていることもあり、調査は難しいものとなりました。さらに事件の背後には、モランとラーハン、オスリガを巡る確執も絡んでいるようです。フィデルマはこのもつれた糸をほどき、真実を知ることができるのでしょうか!?

今回の事件では、これまでの事件でよきパートナーを務めたエイダルフの姿がありません。代わりにコルグーが用意した戦士がフィデルマの相棒となりましたが、彼ではエイダルフの代わりにはなれないのでした。普段は完璧超人のようなフィデルマが、そんなエイダルフのことをたびたび思い出すのが微笑ましかったです。
死の蔵書 (ハヤカワ・ミステリ文庫)ジョン・ダニングの「死の蔵書」を読み終えました。この本は、昔読んだことがあったのですが、古本屋で見つけて懐かしくなって思わず購入してしまいました。

この本の舞台となるのは、デンヴァーの古書業界です。そこで警官をしているジェーンウェイは、個人的にも古書を収集している古書マニアです。あまり警官らしくない趣味を持つジェーンウェイは、ある古書の掘り出し屋と呼ばれる男が殺された事件を調査することになりました。ボビーと呼ばれるその掘り出し屋のことは、ジェーンウェイも以前から知っていました。ジェーンウェイは、その死の背後には貴重な古書がからんでいると見ていたのでした。

この事件と平行して、ジェーンウェイには以前から敵がいました。それは天才的な実業家のジャッキー・ニュートンと呼ばれる男でした。彼はその残虐な性格で、多くの人間を傷つけていました。しかし、財力もあるジャッキーは、被害者を脅して黙らせていたため、警察は彼に手を出せずにいたのでした。

ボビーの事件を調査していたジェーンウェイは、偶然ジャッキーに痛めつけられていたバーバラという女性を知りました。彼はバーバラを救おうとしますが、ジャッキーを恐れるバーバラは勇気を出すことができません。そんなバーバラを再びジャッキーが傷つけたことを知った時、ジェーンウェイの警察官としてのたがが外れました。ジャッキーに1対1の対決を挑んだジェーンウェイは、ジャッキーを叩きのめしたのでした。

現職の警官が、たとえ犯罪者とはいえ、個人的に制裁したことは許されることではありません。ジェーンウェイは、自ら警官を辞めました。そして彼が次に選んだ道は、かねてから憧れていた古書の小売店を始めることでした。古書仲間の協力もあって、ジェーンウェイは新たな生活を始めました。しかし、そこにまたボビーとジャッキーの事件が彼にふりかかってきます。

この他にも物語には、謎の古書業者リタ・マッキンリーという女性の存在や、ボビーが手に入れた掘り出し物は何だったのかという謎など、複数の事件が同時進行します。その上、貴重な古書についての蘊蓄もあちこちにちりばめられていて、本好きにはたまらない内容になっています。

基本的な雰囲気は、ハードボイルドな感じなのですが、謎解きの部分も最後まで真相がわからなかったりして、ミステリーとしても面白い作品だと思います。(^^)
サクソンの司教冠 (創元推理文庫)修道女フィデルマ・シリーズ第2作、「サクソンの司教冠」を読み終えました。

第1作の終わりで、エイダルフと共にローマを訪れる任務を与えられたフィデルマは、ローマへとやって来ていました。そこでまたしても、フィデルマたちは殺人事件に巻き込まれるのでした。今回殺害されたのは、カンタベリー大司教に任命されるはずだったウィガード司教です。彼はローマが用意した来賓用の部屋で、何者かに首を絞められて殺害されていたのです。それだけでなく、司教の部屋に置かれていたローマ教皇への貴重な貢ぎ物の一部も消えていました。

そして、犯人らしき修道士も逮捕されていました。その修道士がアイルランド人であったことから、まかり間違えばサクソンとアイルランドの政治問題にも発展しかねません。そこでフィデルマとエイダルフが、ローマのゲラシウス司教から事件の真相を調査するよう依頼されました。こうしてフィデルマとエイダルフは、ウィトビアに続いてローマでも共同で捜査を始めるのでした。

前作と同様、歴史小説的な面白さがありましたが、前作よりは推理色が強まった気がしました。フィデルマは相変わらずプライドの高さが鼻につくところがありますが、エイダルフと一緒だとちょっと柔らかい感じになりますね。あんまりデレはないですが、これもある意味ツンデレなのかも。(^^;

今回は、ローマが舞台ということで、塩野七生さんの「ローマ人の物語」を先に読んでいてよかったなあと思いました。
もっとも、「ローマ人の物語」はなかなか読み進められないので、フィデルマたちの時代までたどり着いていないんですけど。(^^;

捜査の過程で、事件は二転三転しますが、最後に全てのパーツが収まるべきところに収まったのは気持ちよかったです。
そしてラストでのエイダルフとフィデルマの別れの場面は、ちょっといい雰囲気でしたね。この先もシリーズは続いているので、フィデルマとエイダルフはまた顔を合わせることになるのでしょうが、それがいつどんな形で訪れるのかが楽しみです。
死をもちて赦されん (創元推理文庫)ピーター・トレメインの修道女フィデルマ・シリーズ第1作、「死をもちて赦されん」を読み終えました。

この修道女フィデルマ・シリーズ、以前から気になっていたシリーズでしたが、翻訳の刊行が第1作からではなく、第5作からだったので、ちょっと読むのをためらっていました。その後しばらくフィデルマのことは忘れていたのですが、先日本屋に立ち寄った時に、第1作が刊行されていることを知りました。そのおかげで、ようやく読み始めることができました。

物語の舞台となっているのは、7世紀です。主人公の修道女フィデルマは、アイルランドの修道女であると共に、法律にも詳しく、現代の弁護士のような役割を担っています。この第1作では、フィデルマがブリテン島のノーサンブリア王国に赴いて、そのウィトビアという街で開催される教会会議に出席するところから物語が始まります。

この時代、フィデルマたちの世界にはキリスト教が広まっていました。しかし、同じカトリック系でもローマ派の定めた宗規とケルト(アイルランド)派の定めた宗規では様々な部分で違いがありました。そこでノーサンブリア王国で、宗規を統一するための討論会が行われることになりました。この会議に、法律に詳しいフィデルマは同行することになったのでした。

そして、いよいよ会議が始まろうとした時、フィデルマの友人でもあり、ケルト派の有能な弁論者としても知られるエイターン修道院長が殺害される事件が起きました。それは単なる殺人事件では終わらず、ローマ派とケルト派それぞれに対立する派閥の陰謀ではないかという疑念を呼び起こしました。さらに、ノーサンブリア王国の国王オズウィーの王位を巡る争い、そしてブリテン島の政治問題にすら発展しかねない危険をはらんでいました。

そこで有能な弁護士であるフィデルマに、事件の調査が依頼されました。しかし、フィデルマはアイルランド派の人間です。そこでローマ派からも修道士のエイダルフが選ばれて、フィデルマと共に真相を究明することになるのでした。
今回フィデルマとエイダルフの初顔合わせでしたが、この後も2人は一緒にさまざまな事件を解決していくようです。

読み始める前は、もう少し推理寄りの作品なのかと思っていましたが、それよりは歴史小説的な色合いが強い作品でした。同じように修道士が登場するカドフェル・シリーズのような作品かと思っていたので、最初はちょっと戸惑いました。
日本人には馴染みのないカトリックの教義を巡る対立にも少し戸惑いましたが、読み進むうちに気にならなくなりました。

それから、この時代の修道院には、男女別々のものだけではなく、結婚した修道士と修道女が一緒に暮らすことのできる修道院も存在したことには驚きました。
というわけで、推理小説としては、少し物足りない感じがしましたが、歴史小説としてみたらけっこう面白かったです。
シャーロック・ホームズの冒険―新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)2冊目の長編「四つの署名」を読んでからだいぶ時間が過ぎましたが、ようやく光文社文庫版の新訳「シャーロック・ホームズの冒険」を読み終えました。

「ボヘミアの醜聞」から始まり、「赤毛組合」「唇のねじれた男」「青いガーネット」「まだらの紐」などの短編12作が収録されています。他の翻訳で何度も読み返した内容なので、事件の謎は全てわかっているのですが、それでも何度読み返しても面白い作品ですね。ホームズとワトソンのやりとり、作品を通じて描かれるヴィクトリア朝時代末期の英国の雰囲気がたまりません。

ジェレミー・ブレッドさん主演のテレビドラマにも楽しませてもらいましたが、やはりホームズ作品は活字で読むと想像力を刺激されて楽しいですね。そして新訳ということもあって、やはり翻訳が現代的で読みやすかったです。

この本を読んでいる間に、河出文庫からもホームズ全集が発売されました。こちらは詳細な注釈ときれいな挿絵が魅力的でしたが、注釈が以前ハードカバーで発売されたものより大幅に削除されていることを知って、買うのをやめてしまいました。(^^;
死を呼ぶ婚礼―修道士カドフェルシリーズ〈5〉 (光文社文庫)エリス・ピーターズの修道士カドフェル・シリーズ第5作、「死を呼ぶ婚礼」を読み終えました。

シュルーズベリの教会では、盛大な結婚式が行われようとしていました。ドンヴィルという貴族が、花嫁をめとることになったのです。しかし、その花嫁はドンヴィルとは40歳以上も年の差がある若い娘でした。しかし、その娘・イヴェッタは、伯父夫妻が自分たちの利益のためだけに決めたその婚礼を受け入れようとしていたのでした。

しかし、そんなイヴェッタを慕う若者ジョスリンがいました。ジョスリンのことを、イヴェッタも気に入っていましたが、今のジョスリンはドンヴィルの従者という身分で、なかなかイヴェッタに会うこともできません。
そんな中、ジョスリンはドンヴィルの不興を買って、従者の仕事から追われてしまいました。その上、主人の金や宝石を盗んだ疑いで逮捕されそうになったのです。

なんとか追跡の手をまいたジョスリンでしたが、このままではイヴェッタを不本意な結婚から救うことどころか、自分の命さえ危うい状況です。そんなジョスリンに力を貸してくれたのは、街の外れに作られたハンセン病の患者のための施療院の人々でした。この時代、ハンセン病の患者は治療方法もなく、人々の間で忌み嫌われていました。しかし、その人たちの中でジョスリンは、真の苦しみを知るものの持つ優しさや温かさを知ったのでした。

そして、事件は起きました。なんとイヴェッタの花婿であるドンヴィルが、何者かの手で殺されたのです。結婚式の前夜、ドンヴィルはどこに行ったのか。それを知るために、カドフェルは独自の調査を始めたのでした。
そしてカドフェルは、ドンヴィルには愛人がいたこと。殺害される前夜、彼はその愛人のもとを訪れていたことを知りました。詳しい状況を知るであろう愛人を、カドフェルは探し始めるのでした。そして、ついにカドフェルは、真相への手がかりをつかむのでした。

久しぶりのカドフェル・シリーズでしたが、苦境に陥った善男善女をカドフェルが救うというお約束の展開が心地いいです。誰がドンヴィルを殺したのかという謎解きよりも、今回はジョスリンとイヴェッタの恋の行方にハラハラさせられました。