日々の記録

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2022-09-28 (Wed)

フォンターネ 山小屋の生活/パオロ・コニェッティ

フォンターネ 山小屋の生活/パオロ・コニェッティ

著者の小説「帰れない山」が好きなので、著者の転機となった山小屋での体験を語ったこの本を読みました。30歳になった著者は、書くことができなくなってしまいました。そこで著者は、それまでの生活から離れて、山小屋で生活しようと思い立ちました。かって彼は、長い時間を山で過ごしていましたが、今は山から遠のいていました。山小屋を手に入れた著者は、冬が来るまでそこで生活を始めます。著者の小説でもそうでしたが、自然描...

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2021-12-31 (Fri)

終わりの感覚/ジュリアン・バーンズ

終わりの感覚/ジュリアン・バーンズ

ジュリアン・バーンズさんの「終わりの感覚」を読み終えました。ジュリアン・バーンズさんの作品は、かって「フロベールの鸚鵡」や「101/2章で書かれた世界の歴史」に手を出したことがありますが、どちらも途中で挫折してしまいました。(^^;この本は2部構成になっていて、第1部では物語の語り手トニーが、高校時代にエイドリアンと知り合い親友になったこと、やがてトニーにベロニカという彼女ができましたが、ベロニカはトニー...

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2021-12-19 (Sun)

帰れない山/パオロ・コニェッティ

帰れない山/パオロ・コニェッティ

「どこか、安心できる場所で」に収録されたパオロ・コニェッティさんの「雨の季節」が気に入ったので、長編作品の「帰れない山」を読んでみました。巻末の「訳者あとがき」によると、著者はこれまでは短編小説を書いてきて、長編はこれが初めてだそうです。物語は、ミラノに住む少年ピエトロと、グラーナ村に住む少年ブルーノの出会い、ピエトロと父との登山を通しての関わりと対立を描いた第1部。青年となったピエトロが、グラー...

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2021-12-01 (Wed)

どこか、安心できる場所で/パオロ・コニェッティ他

どこか、安心できる場所で/パオロ・コニェッティ他

今世紀のイタリアの作家の作品を集めた、短編集です。イタリア文学には馴染みはありませんが、「どこか、安心できる場所で」というタイトルに惹かれて手に取りました。この本には・・・・「雨の季節」 パオロ・コニェッティ・「働く男」 ジョルジュ・フォンターナ・「エリザベス」 ダリオ・ヴォルトリーニ・「ママの親戚」「虹彩と真珠母」 ミケーレ・マーリ・「わたしは誰?」 イジャーバ・シェーゴ・「恋するトリエステ」 ...

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2021-03-30 (Tue)

失われた時を求めて(7)/マルセル・プルースト

失われた時を求めて(7)/マルセル・プルースト

プルーストの「失われた時を求めて(7) ゲルマントのほうIII」を読み終えました。6巻は順調に読み進めましたが、第7巻は読み終えるまでに1年かかりました。(^^;前巻で"私"の祖母が亡くなって数ヶ月後、バルベックで知り合ったアルベルチーヌが"私"の元を訪れました。バルベックではアルベルチーヌに肘鉄を食らわされた"私"でしたが、今回はアルベルチーヌの方が積極的でベッドを共にすることになりました。しかしその時、"私"の...

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2021-03-25 (Thu)

チボの狂宴/マリオ・バルガス=リョサ

チボの狂宴/マリオ・バルガス=リョサ

バルガス=リョサさんの「チボの狂宴」を読み終えました。この作品はトゥルヒーリョによる独裁が行われていた時代の、ドミニカ共和国の物語です。著者の他の作品と同じように、独裁者トゥルヒーリョ、彼を暗殺しようとする者たち、トゥルヒーリョの独裁が終わり35年ぶりに祖国を訪れたウラニアという女性など、複数の視点から物語が描かれます。読んでいる時は、すべて史実に基づいた作品なのかと思いましたが、巻末の訳者解説でウ...

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2021-03-07 (Sun)

伝奇集/J.L.ボルヘス

伝奇集/J.L.ボルヘス

以前から気になっていた、J.L.ボルヘスの「伝奇集」を読み終えました。この本には、「八岐の園」と「工匠集」という2つの短編集が収録されています。「八岐の園」は、プロローグを除くと「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」「アル・ムターシムを求めて」「『ドン・キホーテ』の著者、ピエール・メナール」「円環の廃墟」「バビロニアのくじ」「ハーバート・クエインの作品の検討」「バベルの図書館」「八岐の園」か...

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2021-02-18 (Thu)

ラ・カテドラルでの対話(下)/バルガス=リョサ

ラ・カテドラルでの対話(下)/バルガス=リョサ

バルガス=リョサさんの「ラ・カテドラルでの対話(下)」を読み終えました。下巻は歌姫の死をサンティアーゴが取材することになるところから始まり、次第に状況が明らかになっていきます。そして殺された歌姫は、すでに物語に登場した女性だったことがわかります。この作品は推理小説ではありませんが、これから読もうと思われている方の楽しみを奪わないために、あえてそれが誰かは書きません。そして、サンティアーゴとアンブロー...

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2021-02-12 (Fri)

ラ・カテドラルでの対話(上)/バルガス=リョサ

ラ・カテドラルでの対話(上)/バルガス=リョサ

バルガス=リョサさんの「ラ・カテドラルでの対話(上)」を読み終えました。この作品は1950年頃の腐敗しきったペルーの様子を、さまざまな角度から描きだしていきます。基本となるのは、新聞記者のサンティアーゴと、かって彼の家の使用人だったアンブローシオとの再会です。そこで4時間にわたって繰り広げられた会話が、その先のエピソードに入り込んだりします。ややこしいのは、物語の第1部ではある出来事が語られながらも、そ...

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2020-07-24 (Fri)

ある一生/ローベルト・ゼーターラー

ある一生/ローベルト・ゼーターラー

ローベルト・ゼーターラーさんの「ある一生」を読み終えました。昨日読み終えた「雲」に続いて読み始めたら止まらなくなって、150ページほどの本だったこともあり、一気に読み終えました。この物語で描かれるのは、私生児として生まれ、引き取られた親戚の農場でこき使われ、青年になりロープウェイの設置会社に雇われ、1人の女性を愛して失い、兵士としてロシアに送られ捕虜として過ごし、故郷に帰還した後は山岳ガイドとして生...

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2020-07-23 (Thu)

雲/エリック・マコーマック

雲/エリック・マコーマック

エリック・マコーマックさんの「雲」を読み終えました。物語の語り手ハリー・スティーンは、メキシコへの出張中に偶然立ち寄った古本屋で、「黒曜石雲」という古書を目にしました。その本に書かれたダンケアンというスコットランドの小さな町の名が、彼の注意を引きつけたのです。若き日に、ハリーはその町に滞在したことがあったのです。トールゲートと呼ばれるスラム街で育ったハリーが、なぜその町に行くことになったのか。そし...

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2020-04-13 (Mon)

ラ・ボエーム/アンリ・ミュルジェール

ラ・ボエーム/アンリ・ミュルジェール

アンリ・ミュルジェールの「ラ・ボエーム」を読み終えました。この作品は、まだ無名の芸術家の破天荒な生活を描いた連作短編集です。音楽家のショナール、画家のマルセル、詩人のロドルフ、哲学者のコリーヌを中心に、彼らの貧しくもちゃっかりした生活が描かれます。彼らはそれぞれに才能がありますが、お金には縁がなく、たいていはお金に困り借金だらけです。たまにお金が入っても、恋人たちも呼び寄せて豪勢な宴会を催したりし...

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2020-03-15 (Sun)

失われた時を求めて(6)/マルセル・プルースト

失われた時を求めて(6)/マルセル・プルースト

プルーストの「失われた時を求めて(6) ゲルマントのほうII」を読み終えました。前巻は1年半かかりましたが、今回はまさかの2ヶ月で第6巻を読み終えました。(^^;この巻では、"私"は祖母の友人でもあるヴィルパリジ夫人のサロンに出席します。そこでは、憧れのゲルマント公爵夫人とも顔を合わせることができました。サロンには、様々な人たちが数多く参加していました。ゲルマント一族、ノルポワ元大使、古文書学者や歴史家などな...

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2020-02-01 (Sat)

お気に召すまま/シェイクスピア(再)

お気に召すまま/シェイクスピア(再)

アニメの「A3! SEASON SPRING & SUMMER」を見ていたら、登場人物が「お気に召すまま」を読んでいる場面がありました。すっかり内容を忘れていたので、この機会に読み返してみました。ド・ボイス家の末っ子・オーランドーは、家を継いだ長男オリヴァーから疎まれています。オリヴァーは、オーランドーをレスラーと試合させて叩きのめそうとしますが、オーランドーはレスラーを倒してしまいます。さらに兄から憎まれたオーランドーは...

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2020-01-14 (Tue)

失われた時を求めて(5)/マルセル・プルースト

失われた時を求めて(5)/マルセル・プルースト

プルーストの「失われた時を求めて(5) ゲルマントのほうI」を読み終えました。前巻よりもページ数は少なかったですが、今度は1年半くらい読むのにかかりました。(^^;前巻でのバルベックからパリに帰った"私"は、ゲルマント館の一翼に引っ越しました。そこで"私"は、ゲルマント公爵夫人に強い憧れを抱くようになりました。公爵夫人と少しでも親しくなろうと、夫人が通りかかる時間に偶然を装って出会おうとするところに若者の初々し...

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2019-12-22 (Sun)

靴ひも/ドメニコ・スタルノーネ

靴ひも/ドメニコ・スタルノーネ

ドメニコ・スタルノーネさんの「靴ひも」を読み終えました。この著者の本を読むのは初めてでしたが、お気に入りの作家の1人・ジュンパ・ラヒリさんが惚れ込んで英訳したとカバーにあったので、なんとなく読んでみることにしました。物語は3つの書がなっています。1つめは、恋人を作り家に帰られない夫に向けた、妻からの批難の手紙です。2つめは、寄りを戻した夫婦が老後を迎え、ヴァカンスに出かけた間に家を荒らされ、飼い猫も行...

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2019-11-21 (Thu)

千霊一霊物語/アレクサンドル・デュマ

千霊一霊物語/アレクサンドル・デュマ

本邦新訳という言葉に惹かれて、アレクサンドル・デュマの「千霊一霊物語」を読み終えました。物語の語り手であるデュマは、1831年9月1日にフォントネ=オ=ローズ市を訪れていました。そこでデュマは、とある事件に出会います。石切夫のジャックマンが、自分の女房を殺して捕まえてもらいに来たと、市長のところにやって来たのです。彼が自首してきたのは、首を落として斬り殺したはずの女房が、「この人殺し!」と叫んだというの...

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2019-11-14 (Thu)

密林の語り部/バルガス=リョサ

密林の語り部/バルガス=リョサ

マリオ・バルガス=リョサさんの「密林の語り部」を読み終えました。この作品は、フィレンツェにいる現在の著者とペルーに在住していた当時の著者、そしてインディオの神話のような物語の3つで構成されています。物語は、著者がフィレンツェで密林の語り部の写真を見つけたところから始まります。ペルーに在住していた当時、著者にはサウル・スラータスというユダヤ人の友人がいました。彼は顔の半分に痣がありましたが、気さくで...

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2019-09-01 (Sun)

緑の家(下)/バルガス=リョサ

緑の家(下)/バルガス=リョサ

マリオ・バルガス=リョサさんの「緑の家(下)」を読み終えました。「世界終末戦争」ほどの大作ではありませんが、かなり読み応えのある作品でした。下巻では、上巻ではわからなかった登場人物のつながりがみえてきます。40年ほどの間に起きた、5つの事件が交錯して描かれていました。メモを取りながら読んでいたわけではないので、途中でこれって誰だっけ!?ということも何度かありましたが^^;、そんな風に混乱してしまうところもこ...

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2019-08-22 (Thu)

緑の家(上)/バルガス=リョサ

緑の家(上)/バルガス=リョサ

「世界終末戦争」に続いて、マリオ・バルガス=リョサさんの「緑の家(上)」を読み終えました。物語の舞台となるのは、ペルーの奥地です。複数の物語が並行して、時間軸も場所も入り組んで展開するので、最初はかなり戸惑いました。語られている主な物語をあげてみると・・・インディオの村を訪れた尼僧院のシスターたちと治安警備隊の兵士たちが、そこから無理矢理インディオの女の子を連れ帰ります。そうして集めた女の子たちを僧...

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2019-08-12 (Mon)

世界終末戦争/マリオ・バルガス=リョサ

世界終末戦争/マリオ・バルガス=リョサ

マリオ・バルガス=リョサさんの「世界終末戦争」を読み終えました。ハードカバーで2段組・700ページほどの本なので、読み終えるまでに2ヶ月くらいかかりました。(^^;この作品は、19世紀末に実際にブラジルで起きたカヌードスの反乱を題材としています。ブラジルの奥地に、キリストの再来とも言われる聖人コンセリェイロが現れます。セルタンゥ各地を遍歴したコンセリェイロの周りには、やがて多くの信者が集まります。その多くは...

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2019-07-04 (Thu)

七人の使者・神を見た犬/ブッツァーティ

七人の使者・神を見た犬/ブッツァーティ

体調はいまだに不調ですが、なんとか本を1冊読み終えました。(^^;この本は、前に読んだ「タタール人の砂漠」の著者・ブッツァーティの短編集です。表題作2作を含めて、全部で15作の作品が収録されています。多少の長短はありますが、どれも隙間時間にちょこっと読むのにいい感じの長さでした。どの作品もブッツァーティらしい雰囲気で、語り口はメルヘンのようですが、読み進めていくと不安や破滅、人生の理不尽を感じさせられる内...

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2019-05-23 (Thu)

両方になる/アリ・スミス

両方になる/アリ・スミス

アリ・スミスさんの「両方になる」を読み終えました。この本は、かなり実験的な作品でした。物語は2つのパートになっていて、1つはルネサンス時代のイタリア人画家の、もう1つは現代のイギリスに住む女の子の物語です。いっけん何の関係もなさそうな2つが、複雑に入り組んだ形で物語が展開するのが面白かったです。作中にはいろいろな仕掛けがあって、それも楽しかったです。ネタバレすると、これから読む方の楽しみを奪いますので...

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