日々の記録

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知と愛 (新潮文庫)ヘッセの「知と愛」を読み終えました。学生時代にも読んでいるので、今回が二度目の読書になります。

原題は「ナルチスとゴルトムント」です。精神の道を追求するナルチスと、芸術の道を突き進むゴルトムントの2人を主人公とする物語に、翻訳者の高橋健二さんは「知と愛」という、それぞれを象徴するタイトルをつけられました。
翻訳が機械的に言葉を自国語に置き換えるものでなく、翻訳者という人間を通して行われるものだからこそ、翻訳者が原文から読み取った作者の精神を、その時代の自国の読み手によりわかりやすい言葉で伝えることは、意義のある改編だと思います。

物語は、精神の人として生きるべく、ゴルトムントがマリアブロン修道院へと送り込まれたところから始まります。そこでゴルトムントは彼の導き手となる若い師・ナルチスと出会います。2人は、やがて友情という深い絆で結ばれることになりました。

そしてナルチスは、ゴルトムントが精神の道を追求する人間ではなく、芸術の道を進むべき人間であることに気づかせました。自分の本性を見つけたゴルトムントは、修道院を抜け出して放浪の旅に出ることになるのでした。各地で様々な女性と愛し合い、様々な死の目撃者となったゴルトムントは、やがて彫刻という表現手段を獲得しました。

彫刻の親方にも認められる腕前になったゴルトムントでしたが、彼の中にある放浪への強い衝動は、1つの街にとどまって生きることを望みません。再び旅に出たゴルトムントは、ペストによる悲惨な死、そしてついに投獄されて彼自身の身にも死が迫ります。

そんなゴルトムントを救ったのは、放浪中も忘れることなく思い続けた友人ナルチスでした。ナルチスは精神の道を進み、かって2人が出会ったマリアブロン修道院の院長となっていたのです。芸術家として、創作する場所を求めていたゴルトムントに、ナルチスは修道院の一角に彼のための場所を用意してくれました。こうしてゴルトムントは、ナルチスの元で素晴らしい作品を作り上げるのでした。

しかし、1つの作品を作り上げた後、またもゴルトムントは放浪を激しく渇望するようになります。既に彼は、かっての若さや力を失っていました。しかし、彼は出かけずにはいられませんでした。こうして再び、ゴルトムントはナルチスの前から去りました。

次にナルチスとゴルトムントが再会した時、ゴルトムントは老いて病み、死を間近にしていました。そんな中にありながらも、ゴルトムントの心は平静でした。こうしてゴルトムントは、ナルチスに看取られながら息を引き取ります。
このラストシーンは、静謐で美しく心に染みいるようでした。

ヘッセ自身が芸術家ですので、物語の重心が芸術家=ゴルトムントに置かれるのは必然ともいえます。学生時代に読んだ時は、そんなゴルトムント中心の物語を楽しみました。しかし、今回は同じようにゴルトムントの物語を楽しみつつも、その間にナルチスがどんな生き方をしていたのか知りたいと、強く思いました。

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