日々の記録

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ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)アゴタ・クリストフさんの「悪童日記」の続編、「ふたりの証拠」を読み終えました。

「悪童日記」のラストで、それまで常に一緒にいた"ぼくら"は、1人は小さな町に残り、もう1人は町を出て外の世界へと向かいました。前作では、登場人物の名前は不明でしたが、この作品では"ぼくら"の名前も明らかになります。

小さな町に残ったのは、リュカという少年です。1人になっても、リュカは祖母の家で今までと同様の暮らしを続けます。しかし、やがてそこにも変化が訪れます。実の父の子供をはらんでしまったヤスミーヌとの出会い。そして、ヤスミーヌの子供で障害のあるマティアスとの共同生活。しかしヤスミーヌは、やがてマティアスを残して、大きな町へと行ってしまいます。

そしてリュカは、小さな町にある図書館の司書クララとの出会います。彼女は発禁処分される本を密かに自宅に持ち帰り、読んでいます。クララにまとわりついたリュカは、やがてクララと関係を持つようになります。そしてクララの夫が、無実の罪で殺されたことを知ります。

前作でも"ぼくら"がノートや鉛筆を買いに出かけた本屋のヴィクトールは、リュカにお店を売って1冊の本を書き上げるために、故郷の姉と一緒に暮らし始めます。しかし、本を書くのに没頭できるはずのヴィクトールは、やがて破滅的な死を迎えることになります。

本屋に住むようになったリュカは、マティアスを学校へと通わせます。しかし学校では、マティアスは障害による醜さから、他の子供たちのいじめの対象となります。しかし、どんなに痛めつけられても、マティアスは学校に行くことをやめようとはしません。ところが、リュカの前に美しい少年が現れた時、リュカの心がその子に奪われたと思い込んだマティアスは自ら死を選びます。

そして、ここで唐突に物語の視点が変わります。小さな町から出て行ったもう1人の少年、クラウスが町に帰ってきたのです。しかし、クラウスが帰ってきた時、そこにリュカの姿はありませんでした。そればかりか、リュカが本当に実在したのか、本当はクラウスこそがリュカなのではないかという疑問が生まれます。

前作にも驚かされましたが、この作品にはさらに驚かされました。前作とは違い、この作品では、"ぼくら"に名前が与えられました。しかし、最後まで読み進むと、本当にリュカが存在したのか、リュカは実はクラウスの作り出した幻ではないかという疑問が生まれます。そして1人の人間が確かに実在するとはどういうことか、深く考えさせられました。

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